中国全人代 世界が求める「安心大国」へ

 日本の国会に当たる中国の第11期全国人民代表大会(全人代)第3回会議が5日、始まった。国内の格差是正や民族問題の解決、加速する軍事大国化による脅威の拡大に対する世界の懸念を一掃し「安心大国」を実現してほしい。

 世界最大の人口大国、世界経済を牽引(けんいん)する消費大国、成長を押し上げる生産大国として「世界経済の成長のエンジン」を担う中国の役割は絶大だ。全人代では、積極財政の継続、国内総生産(GDP)成長率8%程度の維持が目標に掲げられた。
 リーマン・ショックなど世界金融危機の影響で、いまだ回復が遅れる米国や日本などを尻目に、中国は年率8~10%の安定成長を維持している。
 全人代で温家宝首相は施政方針演説に当たる政府活動報告で、投資や輸出が主導してきた経済発展モデルの見直し、エネルギー消費型から省エネ型への構造改革を打ち出した。
 地球温暖化問題で中国は二酸化炭素排出削減については「先進国がもっと積極的に取り組むべきだ」との注文をつけながら、自らを先進国ではないとして自国の削減には消極的な姿勢に終始してきた。
 省エネ型への構造改革は地球環境の改善にも大きな効果をもたらす。大いに歓迎し、期待したい。
 国内に多くの民族を抱える中国にとって内政安定と治安維持が重要課題だ。全人代では拡大する国内の所得・生活・貧富の格差の是正も目標とされた。
 成長一辺倒から「成長の質」の改善に目を向け、富の再配分に努めて格差を埋め、国内の不満解消を目指す「和諧=調和社会」の実現も打ち出された。
 成長至上主義がもたらした政府による土地の強制収用など庶民の不満の要因となっている権利侵害への反省も目を引く。
 日本やアジア諸国、さらに欧米各国にとっての懸念は、加速・拡大する中国の軍事力だ。4日公表された2010年度の中国国防予算案は、前年度実績比で7・5%増の約5321億元(約6兆9千億円)。米国に次ぐ世界第2位の高水準だ。
 それでも弾道ミサイル迎撃システムの開発費や約2兆円規模とされる空母建造費は国防費に含まれていない。国防費の「不透明さ」も不安と懸念を増長している。
 深刻な相互不信を招く前に政治の透明性向上も課題とすべきだ。