防衛庁が「省」へ・「文民統制」に不安が残る

 来年1月にも防衛庁が内閣府の外局から「防衛省」に昇格する。現在は形式上、主管大臣の首相を経ている法案提出や防衛出動の承認を得る閣議の要求が直接できるようになる。
 これは防衛庁の「省」昇格関連法案が30日の衆院安全保障委員会で自民、公明、民主党などの賛成多数で可決され、引き続き開かれた衆院本会議でも可決され、参院に送付、今国会での成立が確実になったためだ。
 このところ集団的自衛権、非核三原則など安全保障をめぐり、政府、自民党内で論議の足並みが乱れ、こうもばらばらではシビリアンコントロール(文民統制)は「大丈夫か」と不安にかられる。7月には現職閣僚から「敵基地攻撃」論が飛び出しただけに不安は募るばかりだ。
 民主党は、文民統制の徹底などを盛り込んだ付帯決議が採択されたことで賛成に回ったが、それでもまだ不安が残る。
 法案では、これまでの自衛隊法で「付随的任務」とされてきた国際緊急援助活動、国連平和維持活動(PKO)、周辺事態法に基づく後方地域支援などを「本来任務」と位置付けた。
 「現状のままでも国際協力活動は可能。自衛隊は専守防衛に徹するべきだ」との批判には、「付随的任務のままではしっかりした体制整備ができない」「海外活動が任務の付け足しでいいのか」などと反論しているが、自衛隊の海外派遣が随時可能となる「恒久法」制定を検討しているともいわれるだけに、不安もついて回る。
 不安を解消するためにも、省昇格が防衛政策のなし崩し的な変更、ましてや「専守防衛」の逸脱につながることがあってはならない。
 また、近隣諸国にあらぬ警戒心、不安を与えることにもなりかねないことを懸念する。省昇格が専守防衛の変更でないことを中国、韓国をはじめ各国に丁寧に説明することが重要だ。
 そして、安倍首相をはじめ閣僚、与党の要職にある者は発言にも十分配慮してもらいたい。
 それにしても気掛かりなのは、スタートのときから防衛省ではなく、なぜ防衛庁だったのだろうか。警察予備隊から自衛隊に衣替えしたが、なぜ「軍」にはしなかったのか。そこには去る大戦や戦前の反省を踏まえたものがあったのだろうが、その反省をもう乗り越えたのだろうか。
 戦争を体験した県民の中には、まだわだかまりを持つ人も多いだろう。
 戦後60年を過ぎた現在でも基地が集中、基地被害に苦しんでいる沖縄。省昇格で、米軍と自衛隊との連携が強化され、基地の重圧がさらに強くならないのか不安は尽きない。