有識者最終報告 専門家の良識どこに
やはり事業推進ありきの検討結果になった。米軍普天間飛行場代替施設に関する環境影響評価(アセスメント)の評価書補正作業に向けた防衛省設置の有識者研究会が最終報告書を防衛相に提出した。
「環境保全上、特段の支障はない」と結論付けた評価書に疑問を呈した知事意見に対し、有識者報告書は防衛省が移設を推進するための理論武装の手助けをした印象が否めない。
研究会は大学の研究者など自然環境と生活環境の専門家9人で構成されている。しかし環境保全の見地から代替施設建設に異論を挟む意見は全く見当たらない。なぜそうなるのかの答えが最終報告書の冒頭に書かれていた。
研究会の目的を防衛相に助言することと位置付けた上で「事業自体の適否、環境影響評価の補正手続き自体の適否について意見を述べるために設けられたものではない」と記しているのだ。
自然環境と生活環境に詳しいとされる専門家が環境保護や住民生活への影響という観点で建設の是非の判断を棚上げした上で、報告書で掲げる「科学的・専門的観点から討議を行い」と言われても、噴飯ものと言わざるを得ない。
報告書では埋め立て予定海域がサンゴ類の生息域の一つと位置付けた上で、建設によって「生息可能性を有する場が(中略)消失することは、サンゴ礁環境にとって影響が大きい」と指摘している。
それなのに埋め立てを是認している。影響軽減策として挙げている記述を読むと、あきれるほかない。海域に沈めるコンクリート建造物のケーソンなど護岸の表面に凹凸を付けてサンゴ類を付着させる工夫を検討するというのだ。
サンゴ礁を形成する海域を破壊しておきながら、人工物に再びサンゴを生息させるという提案が果たして自然環境の専門家が考えることだろうか。
ジュゴンについては移設計画があってもなくても絶滅する危険があるなどと主張する。その上で「沖縄全体のジュゴンの保全について考えていく必要がある」などと主張し、辺野古から県内全域へと論点をはぐらかす姿勢は不誠実だ。
9度の会合は全て非公開で、議事録も一部しか公開されていない。お墨付きを与えるための無責任な専門家の結論など茶番というほかない。これを根拠にアセス手続きが進むことは許されない。


