北朝鮮核実験強行 理性取り戻し過ち認めよ


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 関係各国の強い中止要求も、この国にはついに通じなかった。国際社会への重大な挑戦であり、強い憤りを禁じ得ない。

 北朝鮮が12日午前、3度目の核実験を強行した。国連安保理が「重大な行動をとる」と強く警告したにもかかわらず、平和的解決に向けた対話を拒んだ。これで国際社会の北朝鮮に対する不信は決定的となった。
 核実験やミサイル発射で緊張を高め、米国など国際社会の譲歩を引き出す狙いなのだろう。しかしそうした挑発行為が北朝鮮に何の利益ももたらさないことは明らかなはずだ。北朝鮮指導部は自ら国際的孤立を深め、国民を窮地に追い込む道を選んでしまった。歴史的な過ちと言うほかない。
 核実験強行により、朝鮮半島をめぐる緊張が高まるのは必至だ。日本や米国、韓国は追加制裁の検討を進めるとみられる。極めて憂慮すべき事態だ。追加制裁はもはや避けられないだろう。追い込まれた北朝鮮が次にどんな手を打ってくるか気掛かりだが、今からでも理性を取り戻してほしい。
 北朝鮮外務省は声明で、核放棄を盛り込んだ2005年の「6カ国協議共同声明は死滅し、朝鮮半島非核化は終わりを告げた。今後、非核化を論じる対話はないだろう」と言明。北朝鮮の国防委員会も「米国などの敵視策動を粉砕する全面対決戦に突入する」と核実験実施を警告していた。
 残念なのは、こうした挑発に対して、米国、中国を含めた関係国が、外交手段を駆使して、核実験を回避させることができなかった点だ。とりわけ、北朝鮮を説得する役割を期待された中国の影響力の低下は否めない。習近平総書記も対北朝鮮政策の変更を迫られよう。
 北朝鮮の最高指導者、金正恩第1書記は、新年の辞で「経済強国建設」と「人民生活の向上」を重点目標に掲げた。目標達成には国際社会から信任を得ることが何よりも重要であったはずだ。核実験強行は、まさにそれに逆行するものであり、国民からも理解は得られまい。目標の実現は極めて困難になったと言わざるを得ない。
 北朝鮮が自国の発展を望むのであれば、声明を撤回し、朝鮮半島非核化に全面協力する以外ない。理性を失い、さらなる“暴走”を企てるなら、それは破滅への道でしかないと心得てほしい。