自民市議団の決断 1区役員辞任は英断だ

 沖縄1区選出の国場幸之助衆院議員が米軍普天間飛行場の県外移設公約を事実上撤回したことを受け、同党那覇市議団14人が1区支部役員を辞任した。

 市議団の行動は民意、公約の重みを自覚した筋の通った英断であり、新しい政治潮流が根付こうとしていることを示している。
 今回の政府、自民党本部による国会議員や県議団に対する圧力は、単に所属議員への圧力ではなく、日本の近現代政治史上、例のない特定地域に対する弾圧事件である。
 これは沖縄だけの問題ではなく、九州から北海道までどの地域であれ、国策に異を唱えれば国が強権を発動し、弾圧の対象になり得ることを暗示している。
 こうした大事な局面で、自民党那覇市議団がとった行動は県益に合致するだけではない。この国の民主主義と国民の自由と権利、平穏な暮らしを守るのが政党、政治家の使命だということを内外に示した。その意味で、真の国益にかなう行動ではないか。
 安倍政権の強硬路線は、半世紀前に絶大な権力を握り「沖縄の帝王」と呼ばれたキャラウェイ高等弁務官時代をほうふつとさせる。キャラウェイは都合のいいように布令を乱発したため、瀬長浩副主席が「自治は後退した」と嘆いた。
 当時の大田政作主席と与党自民党はキャラウェイに追随し住民の反発を招いた。同党刷新派の立法院議員11人と西銘順治那覇市長、翁長助裕氏(後の副知事)ら若手党員は、「主権在米」を放置し住民との一体意識が欠けると批判して脱党、野党革新勢力と共闘した。
 刷新派の行動は、不公正の犠牲になっている民族や集団の利益を代弁して行うアイデンティティー・ポリティクス(政治)だろう。
 沖縄が日本に返還された後、政党の系列下が進み、東京の決定に沖縄が従う仕組みが出来上がった。県民の主権が無視され、沖縄に基地を押し付ける「構造的差別」が露骨に実行されている今こそ、アイデンティティー・ポリティクスの出番ではないか。自民党那覇市議団の行動はかつての同党刷新派に通底する。
 今回の政権与党の圧力が、かつてない地方への大弾圧という認識に立つのであれば、この不条理をはね返すために沖縄の政治家や政党は、既成政党の枠組みにとらわれず、県民党的立場で結束する気概を示してほしい。