デモのテロ同一視 「言論弾圧法」は即時廃案を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 自民党の石破茂幹事長が自身のブログで、デモ活動について「単なる絶叫戦術はテロ行為と変わらない」と指摘した。特定秘密保護法案ではテロの定義があいまいだとの指摘が相次いでいる。

 石破氏の発言は、市民の表現活動が同法案ではテロ行為と認定され、処罰対象になると宣告したようなものだ。自民党ナンバー2の幹事長が同法案が「言論弾圧法」であることを認めたも同然で、極めて問題だ。
 デモ活動は通常、警察の許可を得て行われ、市民が時の権力などに対し意見を伝える行為だ。憲法21条の「表現の自由」で保障されており、これをテロ行為と同一視する石破氏の主張は大いに疑問だ。
 しかし特定秘密保護法案のテロ行為の規定はあいまいで、デモ活動もテロ行為に含まれるような余地を残している。同法案第12条でテロリズムについて「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動」としている。
 森雅子内閣府特命担当相は国会の委員会答弁で主義主張の強要だけではテロには当たらないとの見解を示した。「このような目的を持ち、行為態様、殺傷、または重要な施設その他のものを破壊する行為」が該当するとした。
 しかし条文は2通りの読み方ができる。森特命相の主張するように「主義主張を強要する目的で人を殺傷」した場合と「社会に不安、恐怖を与える目的で人を殺傷」した場合がテロと読むこともできる。
 しかし「主義主張を強要」した場合と「恐怖を与える目的で人を殺傷」した場合がテロに該当するとも読める。こう解釈すれば、まさに石破氏が指摘したように、デモ活動で主義主張を強要しただけでテロ行為と認定されかねない。これではまるで暗黒社会だ。
 県内では普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設や東村高江のヘリパッド建設、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ配備に反対する座り込み行動やデモ行進などが行われている。こうした活動が同法案の処罰対象となれば、過重な基地集中の現状に県民が異議申し立てをするだけで処罰されてしまう。沖縄の言論を封殺する極めて危険な悪法だ。修正ではなく廃案の道しかない。