助け求める勇気 大切 児童養護施設出身・渡井さん講演


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児童養護施設で育った体験を踏まえ、退所前後に必要な支援の在り方を語る渡井隆行さん=12日、那覇市首里石嶺町の県総合福祉センター

 ドキュメンタリー映画「隣(とな)る人」の上映会と、「NPO法人社会的養護の当事者参加推進団体・日向ぼっこ」理事長の渡井隆行さんの講演会が12日、那覇市の県総合福祉センターで開かれた。

渡井さんは、児童養護施設で育った体験を踏まえ、施設出身者は家庭生活を描きにくく、中には子育てに困難さを抱える人もいるとして「自分だけで頑張ろうと思わないでほしい」と、助けを求める勇気が大切と語った。来場者には、周りに苦しんでいる人がいたら「頑張らなくてもいいよと言えるようになれたらいい。それが『隣る人』だと思う」と実感を込めた。
 上映会と講演会は「施設で育った子から学ぶ子育て」をテーマに、児童養護施設の職員や助産師らでつくる「いのちの根っこを育てる会」が主催し、約550人が来場した。映画は小規模の児童養護施設「光の子どもの家」(埼玉県)に8年間密着し、子どもたちと、子どもの成長にじっくりと寄り添いながら絆を育んでいく保育士たちを描いている。
 渡井さんは施設を退所した後、健康保険証や銀行口座の設け方が分からず苦労した経験も語り、退所前に社会生活に必要な手続きを教える必要性も説いた。