「隠れた名盤」SING LIKE TALKING『Anthology』


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

集大成の5枚組“セレクション”

 デビュー27年の集大成。初期アルバム3作を除いた上で、“ベスト”ではなく“セレクション”と呼ぶあたりにも、彼らの矜持を感じさせる。

 CD5枚組が輸入盤並みの価格で買える一方で、ディスク1冒頭に新曲とレア曲を収録しコアファンにもサービス。しかも、その4曲とも前衛的なポップスで、佐藤竹善の若々しい声を含め、挑戦し続ける気迫を感じる。特に、露崎春女参加の『眩暈』は、演奏も男女の掛け合いもスリリングで、まさにクラっとした。
 以降は、10枚のアルバムから5~9曲ずつ選出。オリジナルと同じ曲順かつ高音質なので、もとの雰囲気も瑞々しく味わえる。ハード・ロック色を強めたディスク4前半で離れたファンにも、原点回帰したその後をまとめて楽しめるのも大きな魅力だ。特に、2010年のバンド再始動後は1991年の『La La La』並みに壮大なスケールの名曲も多い。常に高みを目指した本作を聞けば、多勢に巻き込まれぬ精神に憧れて行動できるはず。
(ユニバーサル・DVD付き初回盤6400円+税、通常盤5000円+税)=つのはず誠
(共同通信)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
つのはず誠のプロフィル
 つのはず・まこと 1968年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、T2U音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションCDの企画・選曲などを手がける。

Anthology(完全初回生産限定盤)(CD+DVD+Music Connecting Card)
SING LIKE TALKING
Universal Music =music= (2015-02-11)
売り上げランキング: 431
SING LIKE TALKING『Anthology』
つのはず誠