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「あの夏を取り戻せ」コロナ禍で涙のんだ八重山高OB、3年越しの夢舞台を楽しむ 龍谷(佐賀)に1ー3 20年“甲子園”が実現


「あの夏を取り戻せ」コロナ禍で涙のんだ八重山高OB、3年越しの夢舞台を楽しむ 龍谷(佐賀)に1ー3 20年“甲子園”が実現 「あの夏を取り戻せ 全国元高校球児野球大会」に出場した八重山OB=29日、兵庫県の甲子園球場前(提供)
この記事を書いた人 琉球新報社

 新型コロナウイルス禍で甲子園大会が中止となった、2020年の高校生を対象にしたイベント「あの夏を取り戻せ 全国元高校球児野球大会」に、20年夏の県独自大会を制した八重山OBが出場した。30日には兵庫県の明石トーカロ球場で龍谷(佐賀)OBとの交流試合が行われ、八重山OBは1―3で敗北した。

 20人全員が出場 負けて悔いなし新たな道へ

 龍谷OBとの戦いは、八重山OBにとって「あの夏」以来3年ぶりの試合で、チームメイト20人全員が打席に立った。八重山が三回に先制したが、直後に2点を奪われ、最終的に1―3で敗れた。それでも「勝敗よりも楽しもう」という、当時の主将・内間敬太郎(金沢学院大3年)の声の下で闘ったメンバーの表情は笑顔で輝いた。

力強い投球をみせる八重山OBの下地寛太郎=30日、兵庫県の明石トーカロ球場(提供)

 コロナ禍で甲子園での選手権大会が中止となった2020年。八重山高校は夏の県独自大会で初優勝をつかんだが「やりきったようで、やりきっていない」(当時のエース砂川羅杏、共栄大3年)。メンバーは複雑な心境だった。内間は「目標だった甲子園がなくなった衝撃に何も言えなかった」。夏の優勝という結果を残しても、不完全燃焼のままそれぞれの道へと進んだ。

 それから3年が過ぎた23年の11月末、メンバーは集結して甲子園の土を踏んだ。別球場で行われた交流試合に臨み、砂川は「久しぶりでどこか新鮮さもあったが、応援の声を聞くと八重山高校らしさを感じた」と語った。

 内間と砂川は大学でも野球を続けている。内間は「感謝の気持ちでいっぱい。一生忘れられない思い出になった」と「あの夏」に得られなかった思いを抱く。砂川は「投手として、来季に向けて頑張りたい」。高校球児の聖地で刻んだ記憶を胸に、八重山ナインは未来に向けて歩み出す。 (名波一樹)