<南風>離島留学に寄せる思い


社会
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 9日は県立高校の入試申し込み日だった。久米島高校には町の離島留学制度を通じて関東や中部、関西、九州などから13人の申し込みがあった。

 久米島町が島外から高校生を募集する離島留学を始めたのは2014年度。現在、県外や本島出身の生徒20人が、島の生徒と共に学んでいる。なかには島にルーツを持つ生徒や、保護者とともに引っ越してきた生徒もいる。

 ここ最近、生徒の全国募集を含めた「高校の魅力化」が全国各地に広がっている。背景には、過疎化に伴う公立高校の統廃合が、その地域の人口減少を加速させるという危機感がある。高校がなくなると、より教育環境の整った地域へと人は流れる。UIターン者にとっても、教育は定住を考える際の重要項目だ。そこで高校を核にした地域活性化が注目されているのだ。

 久米島の場合、廃校という話ではなかったけれど、園芸科の存続・クラス数減の危機に、島が揺れた。高校の在り方は島の将来に関わると、住民の皆さんが立ち上がり、行政・民間・高校がタッグを組んで高校魅力化プロジェクトが始まった。

 最初に取り組んだのが、離島留学である。初めの2年間は島の方の家に同居する形だったが、昨年4月に町営寮ができた。各地で学生寮の運営を手掛けるNPOと連携し、寮を人間教育の場にする「教育寮」を目指している。

 生徒の応募動機で一番多いのは、「自然豊かな環境で高校生活を送りたい」。次に「少人数制の教育体制」が並ぶ。また、「農業に興味がある」「将来、漁師になりたい」「地域医療に関わりたい」という生徒もいる。

 自然豊かな離島で、全国各地から集まった生徒と島の生徒たちが学び合い、成長していく離島留学。私が高校生だったら、挑戦してみたかったな…と思う。
(山城ゆい、久米島高校魅力化事業嘱託員)