<南風>建築を学ぶ日々


社会
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 夜中に目覚める。

 東雲(しののめ)の朗ら朗らに明け行くまで、随分と時間がある。

 夜具に座り、目を閉じる。

 昨日の吾が身を三省し、今日を考え、明日を眺める。

 医師を辞め暇になるかと思えば、そうでも無い。

 7時半より役員との早朝カンファレンス(EMC)がある。8時よりラジオ体操を行い、引き続き朝礼である。5分ほど挨拶(あいさつ)をして、各部署の報告を聞く。締めは、理念とビジョンを皆で唱える。

 週の初め、専務の吉平と現場を廻る。経験豊かな彼は、確かな建築の知識と技術を有する。社長の喜納も凄(すご)いが、甲乙つけがたい。

 現場では、先(ま)ず安全な作業環境で仕事が行われているかを診る。

 施工は危険と隣り合わせなので、安全を最優先する。安全に関しては、常に注意を喚起し、安全パトロールを徹底している。

 安全一番・作業は二番である。

 整理整頓されトイレが綺麗な現場は、大丈夫である。

 専務は、先々で細やかな技術指導を行う。私は、門前の小僧よろしく聞き耳を立てる。また、百聞は一見に如(し)かずで、教科書で勉強したことを現場で理解する。

 現場を廻って思うことは、若い人の勉強不足である。現場は、不思議に満ちている。情熱を胸に抱き好奇を目に灯し、勉強する姿勢に欠けている。日々を無為に過ごしていると思えてならない。最近やっと、勉強する人が増えてきた。経験有る者も、謙虚に勉強を続けて欲しい。

 建築物は、人を守る器である。建築に携わる者は、命を守ることの認識を心に強く留め置くべきである。

 私達は、人を守り、心地よく、美しい確かな品質の建築物を創る為に、今日も学び共に汗を流す。

 面白き 事もなき世を

 面白く 住みなすものは

 心也けり

晋作・望東尼

(東恩納厚、東恩納組代表取締役会長)