<南風>心の翻訳機能


社会
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 専門学校の教員の仕事は、講義以外の仕事が6割くらいある。出張が多いのも特徴だ。6月から8月にかけて出張が多く、家を留守にすることが多い。

 先日少し長めの1週間の出張に行ってきた。「別に~」「ふつ~」が口癖の思春期真っ盛りの息子。「世界一ママが大好き。ママはあたしのこと好き?」が口癖の私の彼氏?小3の娘。2人は出張に行くことに対してはかなり免疫がついている気がする。しかし最近娘は出張前後になると、不安定になることが時々見られる。免疫が低下している? いや成長の証?(思いたいが本音?)

 出張中に「いつもうるさいとかママに嫌なこと言ってごめんね。出張に行っていない時後悔するんだ。私は寂しいけど、一人で知らない所に行っているママのほうがもっと寂しいよね」と電話があった。自分の気持ちを小さな体で精いっぱい表現し、さらに相手のことを思いやる気持ちが育っている。息子は安定の「別に~」。それはそれで良し。情緒が安定している証拠!

 その時の出張で行った講習会で「翻訳機能」というキーワードが出た。人に言われた言葉をどう解釈し、翻訳をするかで、自分の行動が変わる。まさにそれだ!「寂しい思いをさせてごめんね」と翻訳するか、「寂しいけど頑張っていることを伝えたいんだ!」と翻訳するのでは気持ちが変わってくる。余裕があるときは変換作業もうまくいくが、うまくいかない日のほうが多いのが現実。

 仕事と子育てとの両立、悩むこともたくさんあるけど、難がある人生は有り難い人生。無難は無難。翻訳機能を高め、難を乗り越え、もっと有り難い毎日になりますように。その難に巻き込まれる家族はたまったもんじゃないよね…。特に母。あなたがいるから娘は有り難い人生を送ることができています。ありがとう。
(平良和 沖縄リハビリテーション福祉学院教員、言語聴覚士)