<南風>キャンプ・シュワブ内の遺骨調査


社会
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 沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんたちが、戦没者遺骨とのDNA鑑定を希望するご遺族83人の名簿を新たに厚生労働省に提出した(本紙17日付)。

 私が携わる『月刊琉球』6月号に向けた具志堅さんへのインタビューで、遺骨のDNA鑑定などさまざまな話をうかがった。その時、遺骨収集を続ける具志堅さんの偉大さを改めて知った。

 話によると、これまで、遺骨のDNA鑑定は事実上、戦没地が明らかな軍人の遺族に限られていた。だが、「誰がどこで亡くなったか分からない」という沖縄戦の実態を痛感している具志堅さんたちが、行政へ要請したり遺族の皆さんに呼び掛けることによって、昨年から、住民犠牲者のご遺族も参加できるようになったそうだ。今回はさらに海外戦没者のご遺族による申請もあった。

 沖縄各地にある慰霊塔に眠る遺骨のDNA鑑定や、海外の戦没者遺骨収集などが進められ、多くのご遺族の元にご遺骨が戻られることを心からお祈りする。

 本紙記事(2日付)にもあったが、具志堅さんが30年余もボランティアで遺骨を収集なさってきた原動力は、「戦争で殺された人を家族の元へ帰してあげたい」との思いだ。

 戦争で殺された遺骨に向き合ってこられた具志堅さんは、300人以上のご遺骨がいまだに眠るキャンプ・シュワブに、辺野古新基地を造ることは人道的問題だと語られる。同基地にあった大浦崎収容所に強制隔離され亡くなった多くの方が、基地内に埋葬されたままなのだ。「そこへ新たな戦死者を出す軍事基地を造ることは死者への冒涜(ぼうとく)」「米軍による集団虐待死があったことを米国市民や国際社会にも知ってほしい」とおっしゃっていた。

 一日も早いキャンプ・シュワブ内の遺骨全面調査が必要だと思う。
(照屋みどり、しまんちゅスクール代表)