コラム「南風」 豚肉料理は長寿の源


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 今、沖縄県民に必要なのは、増え続ける肥満と糖尿病への対策です。わが県は、都道府県別肥満率で全国一。糖尿病に起因する慢性腎臓病での人工透析導入率も1位で、まさに待ったなしの状況だからです。今回はまず、糖尿病、慢性腎臓病、人工透析の関係をお話ししましょう。

 腎臓の役割は、血中の老廃物をろ過して尿として排出すること。毛細血管の塊のような臓器ですから、血流が悪くなると機能が低下してしまいます。その原因は、糖尿病による動脈硬化(血管が傷つくなどして細くなること)です。この状態が進むと、尿が作れません。そのため、血液をいったん体外に出して機械で浄化し、再び体内に戻す人工透析が必要になります。1回数時間、週3回の通院ですから、日常生活に大きな制約を受けます。
 血管に障害が起きる原因は、高血糖(血中の糖分が多すぎる状態)です。血管を傷つける犯人は高血糖であり、糖尿病の方は血糖値が著しく高いのです。毛細血管だけでなく大きな血管も傷つけるため、心筋梗塞や脳卒中を起こしやすくなります。糖尿病の方に大腸がんが多いことも、よく知られた事実です。
 とはいえ、これらの病気は予防が可能です。伊良部島や石垣島などで離島・救急医療に携わった経験からも、私はこのことを強く実感しています。肥満や糖尿病への対策さえできれば、もっと重い病気にはなりにくい―。そんな思いから、生活習慣病外来を開設して10年になりました。
 採用している方法は実にシンプルで、日本一の長寿県だった沖縄県が「日本一のメタボ島」になった原因と正反対のことをするだけです。キーワードは「琉球豚肉料理は長寿の源」。この連載では、豚肉こそが肥満や糖尿病の“特効薬”であることをお伝えしていきます。
(渡辺信幸(わたなべのぶゆき)、こくらクリニック院長)