コラム「南風」 目には見えにくい危険

 自由民主党へ政権が戻り、約10・3兆円に上る緊急経済対策も決まり、安倍首相の「アベノミクス」が始動した。その対策の特徴の一つは、国民生活の安心・安全へ力を入れるために事業規模で0・9兆円を盛り込んだ点である。

 中央自動車道の笹子トンネルで起きた天井版崩落事故を受け、老朽化したトンネルや道路、上下水道の補修等、集中的に進めることになった。実は、国民生活の安心・安全を守るために行われている道路や上下水道工事等が、不適切な処理により国民生活の安心・安全を侵しているという現状を知る国民は多くはない。
 私たちの生活に必要な生活インフラ(上下水道、ガス、電気、通信)は、その多くは地中に配管されている。どの工事も最初に行われる作業が、特殊なカッターを用いたアスファルト切断である。その切断の際、これまで安全性に優れたアスファルトに含まれている成分等が摩擦熱により熱反応を起こし、ヒ素や鉛といった有害物質を含む粉塵(ふんじん)となり排出されている。
 現在、その粉塵は、科学的な根拠に基づいた適切な処理が行われないままにリサイクル等に利用されている。また、粉塵が飛散しないように、カッターへ水を流し飛散を抑制した切断方法もある。しかし、その危険な粉塵を含んだ汚濁水は、道路の側溝等に垂れ流されている。水質汚濁防止法の排出基準値を大幅に上回る数値でありながらである。
 このように、本来国民生活の安心・安全を守るために行われているインフラ工事が、逆に国民生活の安心・安全を脅かしているという状況を国民は知る必要がある。
 国や県、市町村は、アスファルト切断に伴う粉塵および汚濁水の処理について、科学的根拠に基づいた適切な行政指導を行っていただきたい。
(玉城常治(たまきじょうじ)T・WIN社長)



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