コラム「南風」 間に合わないっ!


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 みなさんは、いや地球上の全ての人々は、「わっ、間に合わない!」という切迫感を何度も味わったに違いない。ジャングルに住む人でさえ、「日暮れに間に合わない!」とあわてたことがあるはずだ。

 日本では、特に待ち合わせの場面で多いと思う。実際、当方も時間に遅れたことは一度や二度ではない(関係者の皆さま、再度深くおわび申し上げます)。パートナー間に至っては、一度のミスでその関係が終焉したという実話も聞いた(こちらは当方の体験談ではない。念のため)。
 なぜ、このようなことが繰り返されるのだろうか。
 世界は広い。研究は深い。これらを地道に正確に調べた報告がある。心理学で、「計画錯誤」と呼ばれる。人はもともと「かかる時間を推測すると、常に甘く見積もる習性を持っている」のだ(ここで安心した方々ご注意を)。特に、集団で判断する場合に顕著とのこと。確かに「かかる時間の設定」を間違え、膨大な期間を要した例は身近にも多い。そういえば、政治や公共工事、基地問題への遅れも同様の理屈だろうか(いや、これらはまた全く違う理由だろう、と当方は思う)。
 前述の研究では「間に合わせる」対応策をも例示している。
 ご紹介しよう。それは、「作業をできるだけ細かく分割し、まずそれぞれにかかる時間を考え、その後、足し合わせる」方法だ。
 「デートの準備」の場合、単に「7時に起きて準備すれば間に合うな」と考えるのではなく、起床、洗面、服選び、着替え、朝食、(さらに)「ドキドキしてあわてる」まで分割し、それぞれにかかる時間を見積もり、足し合わせる。そこから逆算するのである。
 重要な場面では、ぜひ、お試しいただきたい。
 なお、本コラムの原稿はちゃんと「間に合った」ので念のため。
(塚原正俊、バイオジェットCEO)