コラム「南風」 答えは「糖質オフ」です


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 私たちが心身ともに健康で長生きするために欠かせない栄養素は4種類あり、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルです。これらは体内では合成できないため、毎日の食事から摂取する必要があります。つまり「必須栄養素」ですから、不足すると空腹感に悩まされたり、体調を崩したりする原因になります。

 タンパク質、脂質、炭水化物の三つは「3大栄養素」とも呼ばれます。このうちタンパク質と脂質は必須栄養素であるのに対し、炭水化物(≒糖質)は必須栄養素ではありません。
 体内で合成できる糖質の摂取が不足しても何ら問題はありませんが、タンパク質と脂質の不足は大問題です。これらが不足すると、重大な病気につながる可能性があるからです。
 例えば、心臓疾患や脳卒中。骨がもろくなるために背骨や膝(しつ)関節が変形したり、骨折の可能性も高まります。ホルモン不足から更年期症状やうつ病、免疫力の低下から感染症にかかりやすくなるなどです。
 日本は高齢社会。病気で寝たきりになる方も少なくありませんが、その原因のほとんどは、タンパク質と脂質の摂取不足によるものといっていいでしょう。
 タンパク質と脂質は「不足」が問題であるのに対して、糖質は「過多」、つまり食べ過ぎが問題です。糖質を多く含む穀物・果物・野菜を食べ過ぎると血糖値が上昇し、動脈硬化や糖尿病の原因になります。もちろん、肥満の唯一の原因でもあります。
 大切なのは、体内で合成できる糖質ではなく、合成できないタンパク質と脂質を「主食」と考えて、たっぷり食べること。私たちの体は、糖質中心の食事では維持できないのです。
 そこで私がお勧めするのは、「糖質オフ」の食事。ご飯や麺類をはじめ、糖質を多く含む食品を控えるという食事法です。
(渡辺信幸、こくらクリニック院長)