コラム「南風」 沖縄の「怒」を日本へ


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 『沖縄の〈怒〉』の共著者、ガバン・マコーマック氏と共に20日、沖縄国際大学にて、シンポ「沖縄の〈怒り〉をどう伝えるか」(「沖縄の平和創造と人間の尊厳回復を求める100人委員会」主催)に参加しました。200余人が出席、交わされた意見の中には、全県反対の中オスプレイを配備した日本とはもう付き合っていられない、沖縄の問題は植民地主義の問題であり、ヤマトが基地を引き取るべきとの訴えがありました。

一方反対意見として、ウチナ~ンチュ対ヤマトンチュというのではなく、人間として共に基地問題に取り組み世界に伝えるべきとの声もありました。これらの意見についてその後考えていますが、植民地主義を背景に普遍的人権侵害が行われているのだから、必ずしも対立構造になる必要はないと感じています。
 24日は東京・文京区民センターで、編集者、ジャーナリスト、運動家、学者など50余人が集まり、高橋哲哉氏と知念ウシ氏をゲストに迎え、シンポ「いま沖縄『問題』を考える」(「平和を考える編集者の会」主催)を行いました。本土に比べると、面積当たり500倍近くの基地負担を負う沖縄では安保支持率は1割以下なのに比べ、本土では7―8割の支持です。安保をここまで容認できるのは、沖縄にこれだけの基地を押しつけているからであり、本土は県外移設によって責任を取るべきであるとの訴えに、会場は重い空気に包まれました。参加者の一人は「ひりひりする問題意識を投げかけられた」と語りました。
 昨年の世論調査では県内移設反対は沖縄の9割。しかし時の民意の表象がどうあろうとも、不当な基地負担は不当なのです。沖縄が反対するからというだけではなく、本質的には、ある集団の被害のもとに他集団が利益を受けるという構造が人道に反しているのです。
(乗松聡子、ピース・フィロソフィーセンター代表)