新型コロナウイルス禍を経た2024年分の路線価では、大都市圏と地方都市との二極化がさらに顕著となった。円安に伴う資材などのコスト高は地価と関係なく今後も全国に波及するとみられる。地方都市の不動産市況はより一層の冷え込みが懸念される。
高い上昇率をけん引したのは、利便性や資産性への期待が高まったマンションが集まる都市部や、インバウンド(訪日客)の増加が見込まれる商業地だ。東京や大阪のほか、通勤に便利な近郊の再開発エリアの人気は根強く、北海道や沖縄といった観光地も人の流れが急回復した。
コロナ禍に一時広がった在宅ワークが定着しなかった影響も小さくない。
ただ、先行きは不透明だ。円安などによる物価高に実質賃金が追いつくかどうかは判然とせず、仮に住宅ローンの金利が上昇すれば影響は避けられない。
日本全体の人口減少が進めば、二極化はさらに加速する。行政主導で駅や公共施設、病院などを集約したコンパクトシティー化を進めることも、一つの選択肢だろう。
(共同通信)