芸能・文化

よみがえるサイレント映画 古典的名著を翻訳出版

 出版された「サイレント映画の黄金時代」と無声映画上映のチラシ各種

 1910~20年代のハリウッドを中心に欧米の無声映画の歩みを鮮やかな筆致でつづった古典的名著「サイレント映画の黄金時代」(国書刊行会)が、68年の刊行から半世紀を経て、日本で初めて翻訳出版された。

 38年英国生まれの著者ケヴィン・ブラウンロウ氏は、無声映画史研究の第一人者。多くの著作やドキュメンタリー製作のほか、フランスのアベル・ガンス監督の大作「ナポレオン」(27年)を復元上映する活動にも携わり、米アカデミー賞名誉賞を贈られた人物だ。巨匠マーティン・スコセッシ監督は「映画の歴史と保存の専門家たちにとっての巨人」とたたえる。

 同書の原題は「パレードは過ぎ去った」。著者は20代の青年だった60年代に、もはや過去の遺物と見なされていた無声映画をかつて支えた生き証人たちにインタビュー。監督や俳優、美術スタッフからスタントマンまで、貴重な証言の数々で同書を彩り、無声映画の豊かな魅力を掘り起こした。

 ハリウッド屈指の二枚目俳優ゲーリー・クーパーの駆け出し時代をユーモアたっぷりに回想するヘンリー・キング監督。「サンセット大通り」(50年)で過去の栄光に固執する大女優を演じたグロリア・スワンソンは、当の本人がサイレント期の大スターだったが、若々しい取材対応で著者を魅了する。老境の喜劇王チャプリンの天才的な演出ぶりを凝視した撮影現場訪問記は出色のルポ。

 ピアノ伴奏や、日本独自に発達したカツベン(活動弁士)付きの無声映画上映が静かなブームを呼ぶ中、映画のルーツへいざなわれる一冊だ。宮本高晴訳、9680円。


(共同通信)









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