吉野ケ里遺跡で石棺墓発見 「謎のエリア」、邪馬台国時代か


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 吉野ケ里遺跡で見つかった石棺墓=24日(佐賀県提供)

 佐賀県は29日、弥生時代の大集落として知られる吉野ケ里遺跡(同県吉野ケ里町、神埼市)で、石棺墓1基が見つかったと発表した。弥生時代の後期後半―終末期の有力者の墓とみられ、当時の集落構造や政治状況を解明する手掛かりとなる可能性がある。県の担当者は「いわゆる邪馬台国時代に近い墳墓」と説明し、今後の調査に期待を寄せた。

 県文化財保護・活用室によると、石棺墓が見つかったのは遺跡の中央部に位置する日吉神社跡地。墓には4枚の石からなる全長約2・3メートルのふたがあり、「×」や片仮名の「キ」に似た線刻が多数刻まれていた。

 石棺を入れるための穴が遺跡内の他の石棺墓に比べ大きく、調査範囲で最も高い位置で見つかったことなどから有力者のものとみられる。

 県は6月5日に石棺のふたを開け、調査する予定。盗掘されておらず、保存状態は良好という。

 吉野ケ里遺跡では昨年5月から、「謎のエリア」と呼ばれていた日吉神社跡地で10年ぶりの発掘調査が始まり、今回の石棺墓のほか、さまざまな遺物が見つかっている。