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『あだち工場男子』東京商工会議所足立支部編 小賢しさゼロの写真集

 

 中学時代の担任が足立区出身で、足立の学校から転任してきた人だった。

 足立区と比べて「お前らみたいなお坊ちゃんお嬢ちゃんはなぁ」が口癖で、コンドームの検品は電球に装着して光が漏れないかで確認するっていうことを教わった。数学の、確率の授業でのことでした。

 閑話休題。そんな恩師の故郷、足立区の工場に焦点を当てた書籍がこの度発売されたようで。東京都23区内で製造業が2番目に多いという足立区。にも関わらずモノづくりのイメージを持たれていないということから、周知を図ろうと発売されたのが本書だそう。

 ということで早速ネットで取り寄せてみたのですが……!い、意外性の連発……!!

 「ホニャララ男子」といえば数年前に話題になった『佐川男子』。イケメン、いっぱいでしたね! 足立の工場にイケメンがいないというわけではありません。「男子」を看板に掲げるのならやはりイケメンを、女性目線で見たいわけで、しかし本書に漂うのはプロフェッショナル仕事の流儀感。大変熱く、男臭い。いや全然それは悪くはないんです。男が惚れる男みたいな切り口でも成立はもちろんするけど、う、売れるかな……? 男性は男性の写真集、買うんだっけ……?

 あと、紹介されている男子達のちょっとしたプロフィールが載ってるんですけど、それが功を奏してないのも味わい深い。「サーフィン好き」はいかにも波乗ってそうだし、「高校まで野球をやっていた」って言われても、そうですか。「オススメの映画は『ショーシャンクの空に』」って……! いや名作だよ、いい映画だよ。でもねそれじゃ人となりが一切見えないのです。だって大体みんな好きじゃん『ショーシャンクの空に』。「嵐が好き」つってんのと変わんないから。挙げ句「目下の目標は一人暮らし」頑張ってね。「夢はマイホーム」頑張ってね。そして「『三度の飯よりおしゃれが好き』で、作業着にも気を遣う」って……。

 ごめんなさいかなり取り乱しました。断じて言いますけど、この荒削りなのがいいんですよ。作り手が試行錯誤しながら作った、その過程が見える本って、実はあんまりないと思っていて。すごく人間くさい、思いのこもった本だと思ったんです。

 そして巻末に掲載されている各企業の紹介ページもまた面白い。紹介されていたイケメン達のオフショット的な写真には、なぜか女が一緒に写ってる。しかもツーショット多数。嫁なのか彼女なのか東京の母的存在なのか、はたまた職場のマドンナか。なんでもいいけど……なぜ。「はい夢から覚めて~。イケメンの隣には女いるからね~」ってことかな? オチ、的な? いやいやいやいや、現実に戻す前にまず夢見させておくれよ!と思わずツッコミを入れたくなっちゃった。でも「どう見せるか」と言う小賢しさを持っていない真面目さ、素朴さが足立区の魅力なのかもしれませんね!

(しまや出版 1500円+税)アリー・マントワネット

あだち工場男子
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(共同通信)