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<再ブレーク盤> 熊木杏里『群青の日々』 表題曲などのバラードが出色

 熊木杏里『群青の日々』

 デビューから15年となる女性シンガーソングライターの10thアルバム。これまで幾度かのレコード会社の移籍、あるいは自身の出産を経た為か、繊細な歌声はそのままに楽曲が随分と骨太になった。

 最初の『怖い』は、完全に井上陽水『氷の世界』の世界だし、続く『カレーライス』に漂う哀愁は、ガロや風を想起させ、どちらも女性が歌うからこそ新鮮。全体にアコースティックな楽曲が多い中、6曲目『花火』や続く『fighter』がポップで振り幅が大きくなっているが、前向きなその視線はブレていない。

 出色は、ラスト2曲のバラードか。武部聡志のピアノだけで歌う『国』では、戦争や貧困を直視しつつ生を願い、表題曲では、静かに、でも確かに歩んできた過去を肯定する。これも、彼女の歌声だからこそ自然に聴こえるのだろう。

 付属のDVDは2本分のLIVE映像や前後のドキュメント、更には副音声コメントもあり、より魅力が増す。女性が年齢と共に強くなることを、本作から理解できるはず。

(ヤマハミュージックコミュニケーションズ・CD+DVD初回限定盤6500円+税)=臼井孝

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(共同通信)