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「DVD=3」 ディム・ボルギル『フォーセズ・オブ・ザ・ノーザン・ナイト』 総勢86名が描き出す、ノルウェーの深い森の情景

 ディム・ボルギル『フォーセズ・オブ・ザ・ノーザン・ナイト』

 音楽DVD、という少しだけニッチなジャンルのリリースを追っていると、ある傾向がみえてくる。……なんて、大げさなものではないのだけど、アイドルとこのメタルをふくむビジュアル系バンドのものが極端に多いのである。やっぱり、目でも耳でも楽しみたいジャンルだということだろうが、本作はまさに、「目撃」をおすすめしたいパフォーマンスである。

 ノルウェー・ブラック・メタル・バンドの雄、ディム・ボルギルによる2011年、ノルウェー・オスロと、翌12年にドイツ・ヴァッケンで行われたライブの模様を収めた2枚組。腐海からの使者のような、世紀末的な衣装を身にまとったメンバー3人(2ギター+ボーカル)に、黒いケープを被った合唱隊30名、そしてオーケストラ53名。この桁外れの人数から放たれる多様な音を、ライブという現場で「音楽」として成立させているのはバンマスの技術的な力量はもちろんのこと、彼らの確固たる世界観あってこそだろう。

 解説を読むと、このブラック・メタルというカルチャーをノルウェーが国を挙げて支援しているというのも興味深い。ボーナス特典のドキュメンタリーを見ても、オーケストラ側もこの音楽にリスペクトを抱いているのがわかる。

 白く寒い冬。どこまでも続く黒い森。まだ見ぬノルウェーの冬の情景がありありと脳裏に浮かんだ。

(ワードレコーズ・5500円+税)=玉木美企子



(共同通信)