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『彼の見つめる先に』 透明感のある青春映画

 

 ブラジルの新鋭監督によるみずみずしい青春映画だ。主人公は、目の見えない高校生レオ。幼なじみの女の子ジョヴァンナと過保護な両親に支えられ、ごく普通の高校生活を送っていた。ところが、転校生のガブリエルと親しくなったことで、ジョヴァンナとの関係がギクシャクしだし…。

 映画ファンなら誰もが興味をそそられるタイトルだろう。映画は“見ること”をめぐるメディア=芸術だから。だが、主人公が目が不自由という設定は、残念ながら空間的にはほとんど機能していない。本作でのそれは、物語上の一種のメタファーであり、レオの目が見えないこともゲイであることも、キャラクターや三角関係、あるいは思春期特有の悩みといったものを、より鮮明に特徴づけるためのデフォルメに過ぎず、だから空間的どころか社会的な役割も果たしていない。その意味で、本作は純粋で混じり気のない青春映画なのだ。

 そして、たとえどんなに特殊なシチュエーションであっても、青春映画には青春映画に相応しい“ルック”があり、この監督はそれをしっかりと踏まえている。簡単に言ってしまえば「透明感」ということになるが、例えばハイキーの露出と被写界深度の浅いレンズを基調とした画面設計、あるいはプールの水の反射や夏の陽光、白いカーテン…。本作がみずみずしいのは、そんな青春らしさを突き詰めた純粋性のたまものなのだ。★★★★☆(外山真也)

監督・脚本:ダニエル・ヒベイロ

出演:ジュレルメ・ロボ、ファビオ・アウディ、テス・アモリン

3月10日(土)から全国順次公開


(共同通信)