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『北の桜守』 難役に挑んだ吉永の演技が見応えあり

(C)2018「北の桜守」製作委員会

 吉永小百合の120本目の出演映画で、『北の零年』『北のカナリアたち』に続く“北の三部作”の最終章。シリーズを特徴づけるのは、北海道の勇壮な風景と、大勢の登場人物が織り成すスケール感たっぷりの人間ドラマ。ただし監督は、1作目が行定勲、2作目が阪本順治と3作とも異なり、今回は『おくりびと』の滝田洋二郎が務める。吉永とは初コンビとなる。

 滝田監督には、男くさい骨太の作風という印象がある。少なくとも、女性よりも男性を描く方がはるかにうまい。『おくりびと』の妻も人物像として弱かったが、直近作『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』に至っては、例外はあれど女性はないがしろに近かった。それだけに、今回の起用には違和感を覚えた。

 とはいえ、箔的にも技量面でも彼なら申し分ない。実際、吉永のスター映画であるため彼女が30代から60代までを1人で演じることが義務付けられる中で、間に前衛的な舞台劇を差し挟むことにより、その不自然さを中和。スケール感を維持しつつも、ありきたりのスター映画にしない手腕はさすがである。

 太平洋戦争末期、ソ連軍の侵攻で多くの邦人住民が犠牲となった樺太の歴史を盛り込みながら、命懸けで息子を守り育てた母の愛を描く本作。相当な難役に挑んだ吉永の演技も見応えがあり、サユリストなら間違いなく満足できそう。★★★☆☆(外山真也)

監督:滝田洋二郎

舞台演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

出演:吉永小百合、堺雅人、篠原涼子、阿部寛、佐藤浩市

3月10日(土)から全国公開


(共同通信)