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『新しい詩とその作り方』室生犀星著 100年後にも新鮮な言葉

 

 大正7年(1918年)に刊行された本書が今、なぜ再刊されるのか。不可解に思いながら読み進めると、何か異様ともいえるエネルギーが伝わってくる。詩への信頼、愛情、情熱……それらが全編に横溢して不思議な磁力を発しているのだ。

 題名の「新しい詩」は今や普通になった口語自由詩だろうし、「その作り方」といっても詩作の教本や手引書ではない。確かに叙事詩と抒情詩の関係、詩におけるリズムの重要性などを解説してはいるものの、著者はあらゆる形式や秩序を排して「極めて自由に…ぐいぐいと書いていった」と記す。

 その言葉通り「詩は真と美と、そして宗教的なるものによってのみ、表現され、また内実される」といった警句ふうのフレーズもあれば、「力を創れ!新しくなれ!…掘り出すのだ。どんどん進むのだ。自分を信じるのだ」という扇情的な文言もある。文語体の文章が差し挟まれるかと思えば、突如、紀行文や短い物語が始まる。その間に自作の詩を含めて内外の詩があまた引用される。次に何が出てくるか全く予想がつかない。

 本書を刊行した同じ年に著者は初の詩集を出版している。その高揚感と創作者としての自信が行間からほとばしり出ている。同時に新たな大衆文化が誕生した大正という時代の開放感、躍動感が伝わってくる。

 あふれる思いを言葉にしたいと感じたことは誰でもあると思う。その真情に詩人が全霊で応えた言葉の数々は100年後の今も古びていない。むしろ新鮮でさえある。

(国書刊行会 3800円+税)=片岡義博

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(共同通信)