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将棋少女エカテリーナ~前編~

 大人とも堂々と対局するエカテリーナちゃん

 3年前の2015年6月、私はポーランドのヴロツワフで行われた将棋フェスティバルに参加していました。

 3日間にわたっての大きなイベントで、メインとなるポーランド将棋大会のほかにも、どうぶつしょうぎ大会、指導対局や将棋講座、さらに日本の文化体験としてそろばんのワークショップなど盛りだくさんのプログラムが用意されており、近隣の国々からたくさんの将棋プレーヤーが集まりました。

 将棋大会には36人が参加。大人の強豪に交じって小さな子どもたちも一緒に対局します。

 ヨーロッパの大会は全員が同じ対局数になるようにラウンドごとに進行するため、早指しの子どもたちは次の対局まで時間がだいぶあります。

 そこで私の多面指し指導対局を受けにくるのですが、何局でも指したがる将棋大好きな子どもたちのパワーに圧倒されて、こちらはてんてこ舞いでした。

 キラキラした笑顔と無邪気な指し手の中に、ひときわ才能が光る女の子がいました。8枚落ちに棒銀でどんどん攻めてきます。

 大抵の子が迷ってしまいそうな局面でも、しっかり方針を決めて駒を前進させてくるので、頭の中にはっきりしたビジョンがあることに感心しました。

 将棋は難しい局面において、きちんと自分の指したい手が自信を持って指せるというのはとても大切なことです。

 将棋を始めて日が浅いようでしたが、たった6歳でベラルーシから言葉の通じない外国の大会に出場するという熱意にも驚きです。

 大人にも臆せず堂に入った対局姿勢を見て、この子は必ず将棋を続けてくれる、きっと強くなると確信した私は彼女のお父さんに、「彼女の才能は素晴らしい。日本に連れて帰りたいくらいです」と話しました。

 お父さんはその言葉にびっくりされていましたが、「彼女は将棋を始めてから、ほかの趣味を一切やめてしまいました。それまで絵を描くのが好きだったのに、今は将棋に夢中です」とおっしゃっていました。

 負けた後には泣いてしまうこともあるけれど「将棋が大好きです」と、ずっと指し続けている女の子。これがエカテリーナちゃんとの初めての出会いでした。(北尾まどか)


(共同通信)