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『ゾンからのメッセージ』 ウルトラQ的な設定で見せる青春模様

(C)不写之射プロ/映画美学校

 『私は猫ストーカー』『ゲゲゲの女房』の鈴木卓爾監督が、前作『ジョギング渡り鳥』に続き映画美学校とコラボしたインディペンデント映画だ。舞台となるのは20年前から謎の現象「ゾン」に覆われた町で、SF的というか『ウルトラQ』的な設定ながら、描かれるのは町の人たちが集うバーを中心に繰り広げられる人間模様、青春模様である。

 脚本&製作は、監督として『今日、恋をはじめます』などをヒットさせている古澤健。現在、松竹配給のティーン映画『青夏 きみに恋した30日』も公開中である。彼が講師を務める映画美学校出身の、ほぼ無名のキャスト&スタッフで固められた本作は、ゾンの特撮をはじめ全編にわたって手作り感が満載の自主映画なのだが、でも、だからこそ商業映画の枠に縛られない実験精神にあふれている。

 ただし、その実験精神はひとりよがりなものではなく、あくまでも計算ずくの実験精神。例えば、スクリーンサイズが途中でスタンダードからビスタに変わる仕掛けは、狭い日本家屋での撮影から、見る側の意識を“空”へ向けるという明確なビジョンがあり、劇映画なのにインタビューやオフショットが挿入される構成もしかり。脚本も、商業映画では扱えない深いテーマを内包している。そこからは、鈴木と古澤の作家的な野心と同時に、プロフェッショナルとしての矜持も垣間見えるのである。★★★★☆(外山真也)

監督:鈴木卓爾

脚本・制作:古澤健

出演:高橋隆大、長尾理世、石丸将吾、唐鎌将仁、飯野舞耶、律子

8月11日(土)からポレポレ東中野にて公開


(共同通信)