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『やまと尼寺 精進日記』NHK「やまと尼寺精進日記」制作班著 ガチ丁寧なガチ暮らし

 

 朝起きて、シャワー浴びて、時間ないからご飯は食べないで、出社。なんか疲れてるなとか、やる気出ないなってときは某エナジー的なドリンクで、強制的に覚醒。仕事中は緊張感なのかなんなのか、食欲わかないからコーヒーしか飲まず、誰かのお土産の温泉まんじゅうをつまむ。で、夜は後輩が誘ってくれたからたこ焼き食べたりお酒飲んだりラーメン食べたり……ってこれ完全に不健康!!そら心身ともにやられるわ!!というわけで現在もれなく絶不調。私に足りないのは病院か?休養か?睡眠時間か?それとも野菜か?絶賛迷走中のある日、何の気なしに本書を手に取った。あぁ、なんかやってるんだよね、NHKで。夜仕事から帰ったら母親が観てたな。「これおもしろいよ」「へーそうなんだ!ナイトスクープに変えていい?」「……」とか、前に話したような気がする。

 本書は奈良県の山深い寺で暮らす尼僧の日々を描き留めたフォトエッセーだ。登場人物は二人の尼さんとお手伝いをしているまっちゃんの三人。彼女たちは四季折々の自然の恵みがいっぱいの精進料理で客人をもてなしている。野山で摘んだ植物や、里で暮らす知人から分けてもらった野菜を頂き、日々の仕事や行事に勤しむ彼女たち。まさに「尼寺版スローライフ」だ。本書は、そんな日々から生まれた知恵や料理の作り方が掲載されている。

 自然の恵みをたっぷりと、というのは想像に難くないだろうが、なんというか、豪快。びっくりしたのが「アウトドア天ぷら」。山菜を摘んで、その場で揚げて食べるのだ。そんな、ちょっと意外なイベントが、本当にここで暮らしているんだな、その中で楽しみを見つけているんだな、ということを教えてくれる。ほかにも梅酒と梅味噌の仕込み、ぎんなんの白和え、干し野菜に干し果物作り、くるみ入り海苔巻きなどなど。丁寧な暮らしなんて言葉が陳腐に思えるほどの、ガチ丁寧なガチ暮らしが描かれている。すごいなぁ。何がすごいって、その暮らしを全身全霊で楽しんでいるところ。それが伝わってくること。

 おでん始まりました、いも栗スイーツ、そしてボジョレー・ヌーボーのご案内……。コンビニの新商品で秋の訪れを知る日々です。そんな暮らしに足りないものを、尼寺はニコニコと教えてくれました。とりあえずこの寺の、電話番号は調べたんですけどね。しかし行くには山道40分。心折れそう……。いや、気軽に行けないのもまたいいですね!

(NHK出版 1600円+税)=アリー・マントワネット

やまと尼寺 精進日記
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(共同通信)