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『パーフェクトワールド 君といる奇跡』 アイドル映画にもこんな鑑賞法あります

(C)2018「パーフェクトワールド」製作委員会

 少女漫画を原作に、岩(がん)ちゃんことEXILE/三代目J Soul Brothersの岩田剛典が主演(杉咲花とW主演)した、いわばアイドル映画だ。恐らく評論家からは無視されるタイプ。でも、捨てがたいところ(裏テーマ?)もあるので、原作や岩ちゃんのファンに向けて、映画にはこんな鑑賞法もあるんだという一例を紹介したい。

 高校時代の初恋の先輩と再会した女性が、彼が事故で車椅子生活を送っていると知り、一途に尽くすラブストーリーだ。映画として重要なのは、車椅子。二人の関係性の変化が“目線(の高さ)”で表現されるから。相手と目線を合わせるために“しゃがむ”カットが都合2回登場するのだが(フラッシュバックは除く)、最初=高校時代は、図書館に本を借りに来た岩田が、受付に座る図書委員の杉咲と顔を近づけるためにしゃがむ。もう1回=クライマックスでは、今度は杉咲が、車椅子の岩田と目線を合わせるためにしゃがむ。両カットは、どちらも1カットの中で人物がしゃがみ、次にその視線の先の相手へとカメラが切り返されるため、見事な相似形を成しているのだ。

 これと似た演出で思い出されるのが、小津安二郎の『東京物語』。冒頭と終盤の尾道のシーンに構図が全く同じカットがあり、2つのカットの対比だけで妻の不在=夫の喪失感を表現した小津の演出は世界を驚かせた。では、本作で表現されているものは? そのまま受け取れば、二人の立場の逆転だが、それではラブストーリーとして身も蓋もない。この監督、意外とクセ者? ★★☆☆☆(外山真也)

監督:柴山健次

出演:岩田剛典、杉咲花

10月5日(金)から全国公開


(共同通信)