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『サヨナラコウシエン』天久聖一著 すべて光であるように

 

 くっだらなー!!と笑いながら読み進めて、最後、不覚にも泣かされてしまった。漫画家・天久聖一の新刊は、5歳のふじおがおじいちゃんとサヨナラするために甲子園を目指す、冒険の物語だ。

 いや、ほんとしょうもないところから始まるんですよ。甲子園を目指し、予選に挑むふじお。予選では謎の男、クリスマス男(誰)とのおしゃれなオシッコ対決で、クリスマス男のオシッコがシャンパンタワーを作ったり(甲子園目指すって野球じゃないんだ。。)、半分サイボーグの職人と一緒に人気の寿司屋を作ろうと挑んだり、魔女の女の子と一緒に迷子のお母さんを探したり……。

 バカバカしくてなんじゃこりゃの数々の予選を勝ち抜き、そしてふじおは本選を迎える。ずっと抱えていた恐怖と向き合い、勇気という剣を手に、立ち向かう。

 そして、再会であり別れの場面。これからのふじおの人生が豊かであるようにと願う最後のシーンは、切なくて美しい。子供はいつだって誰かの希望で、願いで、喜びで、光なんだっていうことを教えてくれている。

 誰かとお別れをした人、ちゃんとお別れできなかった人、忘れたくない人、忘れられないすべての人に読んで欲しい、さよならを言うまでの、さよならを言う勇気を手にするまでの物語だ。

(リイド社 1296円+税)=アリー・マントワネット

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(共同通信)