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『くるみ割り人形と秘密の王国』 母を亡くしたリケジョの成長物語

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 近年のディズニー映画の例に漏れず本作の14歳の主人公クララも、プリンセスでありながら我々自身だ。今風に言えばリケジョ(理系女子)の彼女が、唯一自分の才能を信じてくれた母を亡くして引きこもるが、母が遺した試練と深い愛情のおかげで社会に出ていくまでの成長物語ということになる。それを、1897年のクリスマス・イブのロンドンを舞台に寓話の枠組みを借りて描くことで、冒険のスリルも味わえる。この一石二鳥がディズニー映画の鉄板パターンだ。

 今回の枠組み=元ネタは、バレエでもおなじみの『くるみ割り人形(とねずみの王様)』。だから、ミスティ・コープランド、セルゲイ・ポルーニンという当代一流のバレエダンサーの踊りも拝めるし、ネズミの王様とくるみ割り人形の王子様も登場する。しかも、そこには差別問題や個性の尊重など現代的なアレンジもちゃんと施されている。個人的には、機械や物理好きのクララを演じるのが、“物理学映画”『インターステラー』の少女というのがツボだった。

 でも、この映画が好きなのは、我々を作品世界へと誘う仕掛けがフルっていること。フクロウにクララの住む家へと導かれる冒頭。丁寧な前振りと、対照的に王国へと入る場面のそっけなさ。ディズニーの十八番であるネズミへのリスペクト…。ラッセ・ハルストレムとジョー・ジョンストンという、似てないけど離れてもいない監督2人の個性がうまくハマったのだろう。ぜひ家族で見てほしい。★★★★☆(外山真也)

監督:ラッセ・ハルストレム、ジョー・ジョンストン

出演:マッケンジー・フォイ、キーラ・ナイトレイ、モーガン・フリーマン、ヘレン・ミレン

11月30日(金)から全国公開


(共同通信)