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『しなくていいがまん』小林麻耶著 愛され女子アナの試行錯誤

 

 いろいろあったよね、麻耶ちゃん。妹さんを見送って、残された子供たちと時間を過ごして、海老蔵の後妻とか噂されて、別の方とご結婚されて。なんの縁もゆかりもない私でも知ってるくらいだから、私たちの知り得ないところは、もっとたくさん、色々なことがあったはず。そんな麻耶ちゃんが本を出しました。そら応援している者としては買わない道はないわけで。

 まややという愛称で親しまれた人気アナウンサー、小林麻耶は、「ブリカマぶるーす」なんて曲を出したりして「ぶりっ子」キャラが売りだった。そんな彼女がこれまでの自身を振り返り、これからどう生きていくかを見つめ直したエッセーだ。

 過度の遠慮しいで、ずっと自分に自信がなかったこと、親友にも頼れなかったこと、つよがって一人でがんばっていたこと、妹が心配で仕事に集中できなくても、休みたいと言えなかったこと……。

 これまでの生きづらさとその対処法を、ひとつひとつ優しい言葉で書き留めている本書は、日記のように飾らず、大事な友達に宛てた手紙のように温かい。「『みんなに好かれたい』をやめる」「『人生を友だちの数で計る』をやめる」「『来てもいない未来の心配』をやめる」「『しなくていいがまん』をやめる」……。それらをやめるための対処法は、具体的な行動というより、思考のコントロールが多い。例えば「風呂入って寝る」とか「チョコレートを食べる」みたいなのはあんまりない。そう考えると「○○をやめる」という禁止事項が結構な数連なる、見ようによってはなかなかしんどい本だ。

 こんなに真面目で思い詰める人だったのか。自分のままでは自信がなくて、全員に好かれようとして、仕事に一生懸命過ぎて人の気持ちに気づけなくて、手にしたものより手にしていないものの数を数えてしまう。それでも、少しでも今より楽になろうとじたばたした痕跡が本書だ。不器用で頑張りやさんで人間らしい。

 この本だって誰かに頼まれて、その期待に応えようとしているんじゃないかとか心配してしまうけど、まぁそれもまた小林麻耶か。そんなことより、元気でいてくれたらいいな。結局それを願って本を閉じ、やっぱりどうしたって小林麻耶は愛されキャラなんだなと気付かされた。

(サンマーク出版 1400円+税)=アリー・マントワネット

しなくていいがまん
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(共同通信)