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<隠れた名盤> 池田綾子『風を紡ぐ』 透明感のある歌声に心が安らぐ

 池田綾子『風を紡ぐ』

 2002年にデビューした女性シンガーソングライターが、11年ぶりにメジャーレーベルに復帰した通算7作目のアルバム。まさに柔らかな風によって心が洗われるような作品だ。

 まず、透明感のある高音の歌声に心が安らぐ。全12曲、ゆったりとした楽曲では弦楽器と優しい風を、テンポのある楽曲では管楽器と楽しげな風を歌声が紡ぐようで新鮮な気持ちになれる。また、手嶌葵に提供しヒットした『明日への手紙』は、塩谷哲ならではの柔らかな音色のピアノ演奏も相まって、迷いながらもゆっくり進む気持ちにさせてくれる。

 彼女自身が紡ぐ言葉も特徴的だ。風の他に、空や陽射し、草原や旅など大都会にはない自然と共生した景色が目に浮かぶ。特に、夕焼けや夕映えを描いた楽曲が多く、それゆえ故郷や懐かしい人々が自然と思い浮かび、これも穏やかになる要因だろう。

 ラスト12曲目の『心のふるさと』は、それらの魅力が詰まったバラードで、何もかも疲れた時に静かに浸ってほしい逸品。本作を聴けば、当たり前のようにいる人やあるものを、より愛しく思うはず。

(ソニー 2800円+税)=臼井孝

風を紡ぐ
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(共同通信)