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『ダルちゃん』1巻、2巻 はるな檸檬著 孤独の色のハッピーエンド

 

 あの子に贈りたいな、と思って、もう一冊ずつ買った。クリスマスの包装紙で、赤いリボンをかけてもらって。元気だといいな、もし元気がなかったら、この本を読んで、きもちが少しでも明るい方に動いたらいいな、そんなことを思いながら。

 漫画家・はるな檸檬の最新刊は、資生堂のウェブサイト「花椿」での連載をまとめたもの。24歳の派遣社員・丸山成美、その姿は実は世を忍ぶ仮のソレであり、彼女の正体はダルダル星人のダルちゃんだった。

 ありのままの自分ではいけないと、ダルちゃんは必死でどこにでもいそうな女の子に「擬態」する。普通とは、自分とは、居場所とは。その葛藤と、ダルちゃんが自分の言葉を手に入れ、顔を上げ、自分を生きるまでの物語だ。

「誰かに合わせて生きていると、自分が本当は何を考えているのかわからなくなるけれど、それで相手が喜んでくれているのなら、人に合わせることの、何がいけないのだろう――」

 生きることを許されていなかったような居心地の悪さを抱いていたダルちゃんは、「普通の」女の子として認めてもらおうと試行錯誤する。しかしそれは孤独の色をより深くするだけだった。そんなひとりぼっちの心を抱えた彼女が出会った、創作の世界。その狂おしいほどの渇望が、切実さに圧巻される。

 表紙のような甘くて薄い色をした、よくあるハッピーエンドはどこにもない。深く深く深く深く自分と対峙した、孤独の色の結末だ。そこに一縷の望みは見えるのか、目を凝らしてごらん、確かにあるからと私に問う物語。私たちは大丈夫、だって私には私がいて、あなたにはあなたがいる。血の流れるこの体がある限り、きっと大丈夫。

(小学館 各850円+税)=アリー・マントワネット

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(共同通信)








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