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『世界でいちばん悲しいオーディション』 アイドルを目指す女の子たちのがむしゃらさに熱くなる!

(C)WACK INC.

 異色の人気アイドルグループ「BiSH」「BiS」などを抱える芸能事務所のWACKによるアイドルオーディションの模様を追いかけたドキュメンタリーです。九州の離島である壱岐島で行われた7日間のこの合宿は、私たちの想像を超える過酷さです。24人の夢見るアイドル候補生たちに、歌とダンスのみならず、朝は長距離のマラソンから始まって、スクワットや罰ゲームなど、様々な試練が襲います。

 一見すると、主催の事務所の大人たちがお遊びで女の子たちを踊らせているように見えますが、映画が進んでいくにつれ、彼らもまたとっても真剣に考えていることが分かってきます。「アイドルってこんなに辛いの?」と少女の一人は言いますが、きっとアイドルってもっともっと辛いんじゃないでしょうか。プロのアイドルがこなすライブでは、2時間以上歌って踊り続けるわけだから持久力は人並み以上に必要だし、やわな女の子では務まらない厳しさが、スクリーンの向こう側から聴こえてくる彼女たちの荒い息遣いを通してひしひしと伝わってきます。

 本作の監督は、岩渕弘樹。2016年に公開されたロックバンド「Have a Nice Day!」の浅見北斗を追いかけたドキュメンタリー『モッシュピット』は秀逸で、当時このバンドのことを全く知らなかった音楽に疎い私ですら夢中になるほど。魅力的な人からさらなる魅力を映し出せる監督です。この映画を観ると、一人一人の少女たちがとても愛おしく思える。時に号泣し、怒り、諦め、悔しがる彼女たちの姿を目の当たりにして、果たしてこんなにも夢に向かって必死になったことがあっただろうか、と自分自身を振り返ってしまいました。自分の夢にがむしゃらにしがみつく彼女たちの瞳は、失ってしまった熱い気持ちをもう一度呼び覚ましてくれるでしょう。★★★★☆(森田真帆)

監督:岩渕弘樹

出演:モモコグミカンパニー、パン・ルナリーフィ、ペリ・ウブ、キャン・GP・マイカ

1月11日から全国順次公開


(共同通信)