芸能・文化

人形劇で風刺と幻想世界を 劇団プーク、90周年公演

 「これから社会に出て行く若者にも『オッペルと象』を見てもらいたい」と話す井上幸子さん=東京都西東京市

 日本を代表する人形劇団「プーク」(東京都渋谷区)が今年12月に創立90周年を迎えるのを前に、今夏、記念公演として宮沢賢治原作の「オッペルと象」を上演する。脚色と演出を手掛ける同劇団代表の井上幸子さん(67)は「人形劇が得意とする風刺と幻想世界を存分に見せたい」と意気込んでいる。

 傲慢な地主オッペルの下で働く農民のところに、新しい世界を求める白象が来る物語。最初は働くことを楽しんでいた白象だが、農民の仲間には入れてもらえず、食事も毎日少なくなる。体力も気力も衰えた白象を通し「働くこと」や「本当の自由」を問う大人向けの作品だ。

 同劇団にとって大切な作品の一つで、1947年に初演。賢治の没後50年の前年に当たる82年などに再演してきた。それ以来、今回は37年ぶりとなる。

 小学生時代にプークによる「オッペルと象」を観劇していた井上さん。再演を決めた理由について「子どもの頃から心の中で宮沢賢治作品が気になっていて、向き合ってみたかった」と話す。今回、役者が黒い服を身にまとい、照明で人形だけを浮かび上がらせる技法を取り入れるのも見どころだ。

 オッペルを演じる岡本和彦さん(71)は同劇団で半世紀活動してきた。人形によって人間の力を超えた表現が生まれてくるといい、「美術、俳優の演技力、観客の想像力が三位一体となるところに人形劇の面白みがある」と語る。

 劇団は29年創立。戦時中の治安維持法による活動停止や経営難などの存続危機を乗り越えた。現在、71年開設の専用劇場と地方会場を合わせ、年に400以上の公演を行い、約10万人を楽しませている。

 「オッペルと象」は8月29日~9月1日、東京・新宿の紀伊国屋ホールで上演。


(共同通信)