社会

消防団員報酬「プールして飲み会に」 静岡市

静岡市が市議に開示した消防団員の年額報酬の明細書。個人情報の部分は黒塗りにされている=2019年10月9日午後6時39分、山田英之撮影

 静岡市消防団員の年額報酬が個人ではなく分団に一括支給されている問題で、消防分団の役員を経験した現役団員が毎日新聞の取材に応じ、「年額報酬を(分団で)プールして、訓練後に開く飲み会の費用に充てた。個人で報酬はもらっていない」と証言した。市は個人から受領印を得ていることを根拠に「報酬は分団から個人に支払われている」と市議会で答弁しており、市の認識が実態と乖離(かいり)している状況が明らかになった。【山田英之】

 静岡市の消防団員には、災害や訓練の出動に支払われる手当とは別に役職などに応じた年額報酬が支給されている。報酬は3万6500円からで、昨年度の総額は約2億6200万円だった。

 取材に応じた団員は所属する分団の庶務を担当した経験がある。証言によると、団員の慰労目的で訓練のたびに飲み会が開かれる慣習が長年続いているという。月2、3回程度、多い月には10回開催したこともあった。会費の徴収はなく、分団が年額報酬などのプール金で支払ってきたという。

 分団は団員から入団時に「退団するまで、市から受ける報酬の受領権限を委任する」とした分団長名の委任状を取得している。市は2日の市議会本会議で、報酬が支払われたことを示す個人の受領印も確認していると答弁した。だが、取材に応じた団員は「分団員全員の印鑑を分団で保管して、受領印をまとめて押して、報酬を支払ったことにしていた」と証言した。

 団員は取材に応じた理由について、「不正に加担しているのが嫌だった。消防団の実情を知ってほしかった。変える勇気が必要」と心情を打ち明けた。そのうえで「分団長がまとめて市に報告するのではなく、市が団員一人一人の活動実績や報酬の振り込み口座を直接確認すべきだ」と提言した。

 報酬を飲み会の費用にしているという証言に対して、市消防局の佐藤義之・消防団担当課長は「把握していない。受領印を確認し、団員個人に報酬が支払われていると認識している」とこれまでの説明を繰り返した。

 団員の年額報酬を巡っては県外の消防団で報酬が個人に渡らず飲み会に充てられていた例もあり、総務省消防庁は団員本人に支給するよう求めている。市は2日の市議会本会議で、年額報酬の振り込みを団員個人の口座に変更する方針を示す一方、実態調査の必要性は否定している。


(毎日新聞)









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