社会

考古学が研究の原点 京大時代の仲間からも喜びの声 吉野さんノーベル賞

考古学にも打ち込んだ大学生時代の吉野彰さん=旭化成広報室提供

 今年のノーベル化学賞に決まった旭化成名誉フェローの吉野彰さん(71)は、京都大時代には考古学研究会に所属、会長も務めた。毎日新聞の昨年のインタビューに「物的証拠で仮説を証明する。新しいものを見つければ通説は過去のものとなり、道が開ける。(それは)研究開発と同じ」と話し、考古学に親しんだことが研究活動の一つの原点だと強調していた。かつて活動を共にした人たちからも喜びの声が上がった。

 考古研には当時、吉野さんのように工学部や農学部の学生も多く所属したという。和田晴吾・兵庫県立考古博物館長(71)は吉野さんの1年後輩で、京都の長岡京跡や嵯峨野の古墳などを共に調査した。当時の印象を「天才肌ではなく、コツコツ努力を重ねるタイプ。気配りのできる気さくな好青年だった」と語った。卒業間近に吉野さんの下宿を訪ねたことを覚えているといい「『旭化成に行くんだ』とうれしそうだった。今度、顔を合わせたら『おめでとうございます』と声をかけたい」と話した。

 吉野さんの2年後輩だった岡田保良・国士舘大教授(70)は「きまじめで堅物だが、後輩にはとてもソフトに接してくれた。筋肉質のがっちりした体格で、笑い方も豪快な頼りになる先輩だった」と振り返った。

 「そろそろノーベル賞を取るんじゃないかと話していたところだった」。考古研創設者で大阪経済法科大名誉教授の橋本久さん(77)は「興味を持ったことにどんどん突っ込んでいった結果だと思う」と喜んだ。テレビ画面を通じ久々に再会した吉野さんの様子を「学生時代のやさしい面影がよく残っている」と語り、「本当によく頑張られた」とたたえた。【林由紀子、松浦吉剛、花澤茂人】


(毎日新聞)