社会

<優生社会を問う>妊婦相手「不安ビジネス」の実像 誰が出生前診断を担うのか

新型出生前診断(NIPT)の検査キット=東京都内で2018年12月15日午後1時53分、千葉紀和撮影

 「全国に施設があれば妊婦は負担の重い長距離移動をせずに済むでしょう」。東京・麻布十番にあるDNA先端医療株式会社。栗原慎一社長は胸を張った。

 医学面や倫理面から施設要件を厳しく定めた日本産科婦人科学会の指針に反し、新型出生前診断(NIPT)を請け負う無認定の医療機関の急増が問題化している。本紙調査では7月末時点で少なくとも40施設あり、約9割の37施設が産科や産婦人科以外との実態が判明した。実はその多くは2グループに分かれる。同社は約半数の施設を束ね、さらに増やしている。

 NIPTは妊婦の血液から胎児の染色体異常の可能性を推定する。同社は美容外科などに妊婦への検査を呼びかけて採血するよう声をかけ、集めた血液を英国などの検査企業に国際宅配便で送る仲介業者だ。1人の妊婦が支払う費用は検査内容によって1回20万円前後。半分近くが利益で、採血施設と分け合う。

 オフィスを訪ねると、若者たちが電話対応に追われていた。妊婦からの問い合わせや検査予約、検体の集荷はここで一括管理する。

 30代の栗原さんは商社を経て昨夏、同社を設立した。「国会議員が注目する26社」という書籍にも紹介されている若手起業家だ。「検査に倫理面で議論があるのは承知している。でも、希望する妊婦が受けられない現状を変えたい」と熱く語る。一方、収益を尋ねると別の顔をのぞかせた。

 「このビジネスでどうやれば赤字になるんですか」

    ◇

 「命の選別」と論議を呼んできたNIPT。指針破りの提供施設が増え続ける背景に、急成長する市場でシェアを争う世界の検査企業と、医療機関に集客を働きかける仲介業者の存在がある。現場で今、何が起きているのか。【千葉紀和、上東麻子】


(毎日新聞)








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