スポーツ

コロナ拡大で部活できない子どもを全力応援 メダリストたちがSNS教室

 アスリートからの全力応援だ。新型コロナウイルスの感染拡大で部活動が制限されている子どもたちに向け、オリンピックのメダリストやスポーツ団体が立ち上がった。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を用いて「自宅でできる」と題し、誰でも挑戦できるマル秘トレーニングを公開している。一流選手も自ら実践するその中身とは……。【小林悠太】

 ◇「タオル1枚」「1畳分の空間」でできる

 2011年の東日本大震災後、「スポーツの力」が見直された。多くのスポーツ選手が被災地を訪問し、国際大会での活躍は人々に勇気を与えた。一方、新型コロナウイルス禍では感染拡大防止のため、雄姿を見せるはずの大会は中止となり、スポーツ教室を実施することも難しい。新たな形でスポーツ界の存在価値を発信するため、対面せずに交流できるSNSが有効活用されている。

 16年リオデジャネイロ五輪陸上男子400メートルリレー銀メダリストの桐生祥秀(24)=日本生命=は、自らのユーチューブチャンネルで、中高生の陸上部員に向けた緊急トレーニング教室を公開した。3月10日に投稿すると、視聴回数は6万回を超えた。

 「1畳分のスペースで、下に敷くタオル1枚でできます」。片足立ちになり、上体を直角に曲げてもう片方の足を伸ばし、尻の筋肉を鍛える方法では「骨盤を外に開かないよう、上げている足先は下を向けて」とコツを伝えた。京都・洛南高時代から始め、今も続けているトレーニングで「走りで使う筋肉に刺激が入る。集中してやることでライバルとの差も広がる」と語る。

 リオ五輪のカヌー・スラローム男子カナディアンシングルで銅メダルを獲得した羽根田卓也(32)=ミキハウス=は3月23日、普段、自宅で行っているというトレーニングをツイッターで紹介した。

 「用意するのはタオル1枚」と実演をスタート。床に置いたタオルの上に両手を乗せると、雑巾がけの要領で両腕と背筋を真っすぐ伸ばした。腹を床につけないため、体幹を鍛えられるという。筋力が強くない人でもできるよう両膝を床についてできる方法も紹介した。閲覧数は18万件を超え、「コロナに負けないためのトレーニング。当然、きついです」とエールも送る。4月1日には自宅の風呂に水を張ってパドルをこぐ様子を投稿し、「外でカヌーの練習ができないから感触を忘れないようにしている」と話した。

 ◇「#いまスポーツにできること」

 リオ五輪のバドミントン女子シングルス銅メダリストの奥原希望(25)=太陽ホールディングス=は、英国で行われた全英オープンから3月17日に帰国後、2週間の自宅待機となった期間を活用した。「おうちトレーニング」などと連日、ツイッターに自宅や近辺でのトレーニング風景などを投稿した。

 少し早送りでコミカルな動きに仕上げ、スポーツ経験者以外も楽しんで視聴できるようにした。体を動かすだけでなく目のトレーニングとして、顔近くに置いた両手の人さし指を、左右や上下に動かしながら顔を動かさずに5秒ずつ順々に見つめる動画も披露して「目の筋肉も使いましょう」と助言。4月1日にはブログに「みんなで乗り越えれば、幸せもみんなでかみしめられる。必ず先が見えてくる」と記した。

 日本サッカー協会は3月11日からユーチューブを活用。「自宅待機中のみんなへ」と題して、トップ選手がトレーニングだけでなく、手洗いやうがいを実演する動画も投稿した。18年のワールドカップ・ロシア大会で活躍した乾貴士(31)=エイバル=は、連日のように高度なリフティングを「宿題」として実演。室内でできるように椅子に座りながらリフティングを行っているものもあり、「サッカーはボールがあればどこでもできるし、うまくなれる。チャレンジして」と呼びかけた。

 サッカー協会に感化されたのが日本バレーボール協会。3月19日からツイッターを活用し、東京都内で合宿中の日本代表の選手やスタッフがストレッチのやり方を伝えている。投稿にはサッカー協会を参考にハッシュタグ(#)で「いまスポーツにできること」を付ける。Jリーグのクラブや他競技団体のSNSでも「#いまスポーツにできること」が広がる。

 新型コロナウイルスの終息の見通しが見えず、学校スポーツなどの現場にも重苦しい雰囲気が漂う。SNSの「特別教室」が、希望の光になると願いたい。


(毎日新聞)









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