社会

「年一度の書き入れ時が…」 GWイベント続々と中止 地域経済に大打撃

2016年5月の「浜松まつり」。今年は新型コロナウイルス感染防止のため中止になった=浜松市南区中田島町で2016年5月3日、竹田直人撮影

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、5月の大型連休に開催予定だった地方の大規模イベントが続々と中止に追い込まれている。数十万~100万人規模の見物客が訪れるイベントには飲食、宿泊、交通など地元の多くの事業者が携わっている。消費の落ち込みも続いており、地域経済に大きな打撃が出るのは必至だ。

 「みなさまの健康と安全を第一と考え、苦渋の決断をせざるを得ない状況となりました」

 「感染爆発の懸念が日に日に高まる情勢を踏まえ、大勢が集まるおまつりの開催は中止することにしました」

 3月下旬以降、判断を保留していた各地のイベント主催者から中止の発表が相次いでいる。

 5月3~5日に予定していた浜松市の「浜松まつり」も中止が決まった。大空を舞う大凧(おおだこ)揚げ合戦や、華麗な御殿屋台の引き回しなどが人気で、例年150万人以上でにぎわう。シンクタンク「静岡経済研究所」によると、開催した場合の経済波及効果は73億円に上る。すでに中止・延期が決まっている静岡県内の主要8イベントと合わせた損失は200億円超に達する見込みだという。

 同研究所の恒友仁理事は「地元の中小・零細企業にとって、年一度の『書き入れ時』がすっぽりなくなった。感染収束の見通しが立たない限り、外食やレジャーなど個人の消費動向も回復せず、経済への影響は拡大する」と厳しい見通しだ。

 2600本の桜が咲き誇り、国内外から200万人超が訪れる青森県弘前市の「弘前さくらまつり」(当初予定4月23日~5月6日)は節目の100回目が中止になった。当初は出店やイベントをやめるだけで、会場の弘前公園への立ち入りは可能だった。しかし全国的に感染が広がる中、「桜が咲けば人の密集は避けられない」と市が4月1日に方針を転換し、10日から5月6日までの公園閉鎖を決めた。

 地元の弘前商工会議所によると、特に飲食事業者のダメージが深刻だという。商議所の担当者は「2月末から謝恩会や歓送迎会のキャンセルが相次いでいる上に、公園封鎖でかすかな期待感もなくなった」と嘆く。公園封鎖で観光客はまったく見込めず、「とにかく先が見えない。助成金の申請など相談を受けているが、事業縮小を検討する店もある」。

 茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園も4月4日から休園する。「4、5月はネモフィラの花目当ての観光客が首都圏から多く訪れるため」(同園事務所)だと言う。休園は連休明けまで続く見込みだ。昨年の大型連休中は茨城県内最多となる58万人が訪れ、周辺の宿泊や観光施設も潤った。同市観光振興課は「すでにツアーや学生合宿など団体客の宿泊が軒並みキャンセルになっている。公園閉鎖となれば価格帯の高いホテルなど個人客を相手にしていた事業者にも大きな影響が出る」と話している。

 このほか東北や関東では、宮城の「仙台・青葉まつり」、岩手の「春の藤原まつり」、茨城の「笠間の陶炎祭」などが中止・延期している。【尾崎修二】


(毎日新聞)









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