社会

「社会的距離2m」は感染防ぐ金科玉条なのか 新型コロナ、予防するには

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、他人と一定の距離を保つ「ソーシャルディスタンス」(社会的距離)の考え方が広がっている。推奨される距離は約2メートル。自宅から一歩外へ出れば、この間隔をキープし続けるのも一苦労だが、換気の悪い空間の場合、「2メートルだけでも不十分」と専門家は指摘している。 

 新型コロナウイルスの主な感染経路は、せきやくしゃみ、会話などで飛び散るしぶきを浴びることでうつる「飛沫(ひまつ)感染」と、ウイルスがついた手で目や鼻、口といった粘膜を触ることによる「接触感染」の2種類がある。

 通常、せきや会話などによって飛散するつばなどのしぶきは、水分の重さで約1~2メートル先で落下する。これが、「2メートル」が推奨される根拠だ。

 新潟大の斎藤玲子教授(公衆衛生学)は「2メートルの距離を保てば飛沫感染の多くは防げると思う。が、日本では浸透しきっていない。感染を制御する上で、社会的距離がカギになる」と指摘する。

 とはいえ、電車内など物理的に2メートルの間隔が取れない場面は多い。斎藤教授は「それでも、少なくとも1メートルは空けるべきだ。できる限り人との距離を取る意識が大切だ」と強調する。

 一方、米国立アレルギー感染症研究所や米疾病対策センター(CDC)などの研究チームは3月、新型コロナウイルスが、空気中に浮遊する5マイクロメートル未満の微粒子「エアロゾル」の中で一定の時間、感染力を持ったまま存在し続けることを確認したと医学誌に発表した。

 研究チームによると、ウイルスが含まれる液体を噴霧器を使ってエアロゾル状態にして円筒形の容器に閉じ込めたところ、ウイルスは3時間にわたって感染力を保ち続けたという。また、ウイルスはプラスチックの表面で3日間、ステンレスの表面で2日間、生存することも分かったという。

 こうした微粒子を長時間吸い込むことでうつる「エアロゾル感染」について、厚生労働省は「一般生活での感染報告例はないが、医療機関ではリスクがある」として医療従事者に注意を呼びかけている。CDCも医師らに専用マスクの着用や処置室の徹底消毒などを求めている。

 国立病院機構仙台医療センターの西村秀一ウイルスセンター長(ウイルス学)によると、感染者のせきやくしゃみなどで飛散するしぶきは、1秒もたたない間に水分が蒸発し、体積が小さくなる。そうして残った小さな粒子は長時間、空気中に漂いやすく、他人がこの粒子を吸い込み気道粘膜に付着すると感染する恐れがあるという。

 西村医師は「空気中を浮遊する粒子を考えれば、密閉した空間では2メートルの社会的距離を取るだけでは不十分で、こまめな換気が欠かせない。特に医療機関で換気のできない部屋に患者を集めれば、院内感染を広げかねない」と注意を呼びかけている。【岩崎歩】


(毎日新聞)









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