
看板さるぼぼ「コロナに負けるな」 新潟の呉服店、訪れた人に配布「第2波気をつけて」

新型コロナウイルス感染症が相次いで確認された新潟県柏崎市。街中から人が消え、施設や店舗が軒並み閉まり、火が消えたようだった。宣言解除後、車の交通量も増え、にわかに慌ただしい週末となった。
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「コロナにまけるな」--。同市四谷の「三忠呉服店」前で、こんなのぼりを立てたマスク姿の「さるぼぼ」がちょこんと椅子に腰掛けていた。
さるぼぼは、奈良時代に唐から伝わったとされる「猿の赤ちゃん」人形。嫁入りの際、安産や幸せな結婚を願って娘に持たせたお守りと考えられ、江戸時代には天然痘がはやり、無病息災のお守りになったとされる。
「物珍しがって、SNSにアップするため若い人たちが写真を撮っているようだけど」と、呉服店を営む三井田あつこさん(64)は語った。店舗前に「コロナにまけるな人形」を出したのは3月。すでにマスク不足の最中だったが、「コロナ対策にマスクをしましょう」と呼びかけるためだった。人形を見かけた若者や散歩中のお年寄り、障害者が立ち寄り、「おかげで元気になりました」などと世間話に花が咲いた。小さな人形を無料で配布したという。
さるぼぼは非売品で、イベントの出店販売など特別なときに主婦仲間で作る。三井田さんは3月に予定していた娘の結婚式で、出席者に感謝を込めて配るため手分けして人形50体を製作。しかし、結婚式は延期となり、訪れた人に無料配布するようになったという。
三井田さんは「休業要請が解除され、気分的に皆明るくなった気がする。『第2波』に気をつけて夏を乗り切ってほしい」と、一刻も早い終息を願った。【内藤陽】
(毎日新聞)