社会

落とし物申請 全国の警察でオンライン化へ 2026年度に完成

警察庁が入る中央合同庁舎第2号館=米田堅持撮影

 落とし物をした時に警察に届ける手続きのオンライン化が進み出そうとしている。警察庁が全国の警察のシステムを統合しようとしており、2023年3月にも一部の地域で導入が始まり、26年度には全国で利用できるようになる見通しだ。落とし物を申請しておくと、全国どこで見つかっても手元に戻る仕組みが実現するのだろうか。

 物を落としたり置き忘れた後に見つからなかったりした場合は現在、警察署や交番などを訪れて遺失届の紙を提出できる。電話で受け付けている警察も多い。

 各都道府県警は、警察本部ごとに個別の情報管理システムを構築している。遺失届を受理した警察は、保管している拾得物と照合して、持ち主を特定し、返還に結びつける仕組みだ。作業の方法も、検索の仕組みなど各地でまちまちだ。

 また、1万円以上の現金や運転免許証、預金通帳、携帯電話など規則で定められた貴重品については全国の警察で情報が共有・照合される仕組みになっているが、それ以外の落とし物は届け出先の地域以外に登録できるのは最大3都道府県にとどまっている。

 警察庁によると、遺失届申請の全国一律オンライン化が実現すれば、どこで落とし物が発見されても迅速な照合が可能になるという。対象地域が複数県にまたがる場合はこれまで、各都道府県警が警察庁が中継して振り分けた情報を自ら取得する手間を掛ける必要があり、担当者は「どうしてもタイムラグが生じていた」と話す。システムが共通化されると、警察庁が振り分ける必要がなくなる。

 新幹線や航空機などで移動してどこで落としたのかはっきりしない場合は、登録地以外で見つかると把握できない落とし物があったが、新システムではこうした弊害も解消されるという。

 遺失届の電子申請を巡っては、これまで北海道警が05年4月に導入するなど、山梨、三重、神奈川、山口、茨城、埼玉の計7道県で利用されている。落とし物が届いた場合には電話や書面で所有者に知らせることになっているが、申請数に目立った変化は出ていないという。

 警察庁は、警察本部によって異なっている運転免許証の情報を管理するシステムなどを全国で一元化する事業に着手している。落とし物の管理についてもこの中に盛り込み、申請などに関するプログラムの開発は22年度には完了する計画。各都道府県警はそれぞれ現在のシステムを民間業者と契約しており、電子申請が導入されるのはこの契約が終了してからとなる。23年3月から始まり、全国すべての地域で移行が完了するのは26年度になる予定。

 電子申請は警察署に行かずにスマートフォンでもできるうえ、警察も紙の内容を手作業で電子記録に入力し直す作業が省けるようになるなど利便性が高まるが、課題もある。警察官が対面や電話で対応する時のように「落としたバッグにストラップは付いていましたか? どういうものでしたか?」といった細部を聞くことができないためだ。

 警察庁は、落とし主が気に留めないちょっとした特徴が所有者特定の鍵になることが多いため、申請時に入力する形式をどのように充実させれば良いかという検討を続ける。担当者は「オンライン申請が実現しても、内容が分かりづらいと結局は警察が申請者に電話で問い合わせることになる。工夫して新しいシステムを作り込みたい」としている。【町田徳丈】

 ◇19年度の全国の遺失届は約1259万点

 2019年に全国の警察に遺失届が出された物品は約1259万点だった。警視庁が最も多い240万7027点で、大阪府警156万1561点、神奈川県警93万2297点――と続いた。遺失届があった現金の総額は約368億円だった。

 一方、警察に届けられた拾得物を巡っては、各都道府県警は拾得物をインターネットサイトで公表しており、検索することができる。早期に返還するために遺失物法が07年に改正され、ネットで公表するよう定められた。19年に全国の警察に届け出のあった拾得物品は約2975万点に上り、前年までの分を含めて約1106万点が落とし主に返還された。


(毎日新聞)









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