社会

「受験生の安全を一番に考え、苦渋の選択」2次試験中止決めた宇都宮大・池田理事

個別試験中止の経緯などを話す宇都宮大の池田宰・学務担当理事=宇都宮市峰町の同大で2021年1月22日午後5時4分、玉井滉大撮影

 新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言の再発令を受け、宇都宮大(石田朋靖学長)が一般入試の個別学力検査の中止に踏み切った。初の大学入学共通テストが16、17両日に終了し、25日の出願開始を目前に控えたタイミングでの判断。池田宰(つかさ)・学務担当理事(64)が22日、毎日新聞の単独インタビューに応じた。【玉井滉大】

 ――個別学力検査(個別試験)を中止した経緯は。

 昨年中は「年明けは感染状況がもう少し落ち着くだろう」という印象を持っていたこともあり、実施できるよう準備していた。だが、年明けに1都3県で緊急事態宣言の発令が検討されたことを受け、4日から実施の可否の検討を始めた。

 宇都宮市が6日に独自の緊急事態宣言を発令したことなどを受けて12日、個別試験を中止した場合の評価方法を各学部で検討するよう投げかけた。同時に、個別試験を実施できない可能性があることを事前に受験生に通告することを決め、13日にホームページで公表した。その段階では栃木県の感染状況がどう転がるか読めず、中止の判断には踏み切れなかった。

 14日、県に緊急事態宣言が発令されたことを受け、中止する方針を共通テスト終了後の18日に固め、19日午前に学長や各学部長、理事らによる臨時会議で中止を決定した。当初は中止した際の合否判定について疑問視する声もあったが、最終的には異論はなかった。

 ――中止と判断した理由は。

 受験生には、緊急事態宣言が発令されている地域から来る人もいれば、比較的感染者が少ない地域から来る人もいる。それらも踏まえ、全ての受験生の安全を一番に考えた。宇都宮大独自の判断だ。

 25日から個別試験の出願が始まる。その後で中止すれば一層の混乱を招いてしまう。受験生のことを考え、影響を最小限にするためにも今週中がタイムリミットだと考えた。本当は実施したかった。苦渋の決断だ。

 ――個別試験の中止で受験生の評価に影響は出ないか。

 受験方法の変更に当たっては、過去の受験生の成績分布なども参考にシミュレーションした。そのうえで各学部が求める学生像に合うよう検討し、この方法で合否を判断しようと決まった。受験方法は変わるが、宇都宮大を目指す受験生が考えていた判断基準に沿って、合否を判断できると考えている。影響は出ると思うが、緊急事態ということで、致し方のない対応だと考えている。

 体育や音楽などの実技試験に関しては、各受験生が磨いてきた技術は共通テストでは測れないので課題を提出してもらう形になるが、出題方針がガラッと変わるわけではない。決して大学の都合で判断しているわけではなく、受験生目線で考えている。

 ――急な判断で混乱を招いていると思うが。

 いろいろと影響が出ていると思うが、いま私どもが考えている中ではベストの対応だと思う。受験生の中には、これまで準備してきたのに、いきなりの変更に「なぜ?」と思う人もいると思うが、しっかり説明して理解してもらう努力をすることが一番大事だと思っている。

 個別試験は実施しないが、個別試験のためにした勉強は、大学に入って社会に出て行く過程で礎になるし、必ず役立つと思う。入学してくれる受験生には、しっかりと教育の機会を与えられるようにする。

 ◇大学通信・安田常務「宣言再発令、仕方ないのでは」

 大学受験に詳しい教育情報会社「大学通信」の安田賢治常務は「『個別試験で逆転しよう』と頑張っている受験生はいるだろうが、全国的に新型コロナの感染が拡大し、栃木県に緊急事態宣言が再発令されてしまった以上、仕方がないのではないか」と指摘する。

 文部科学省大学振興課は「宇都宮大から報告を受けていないので詳細は分からない」と話す。他の国公立大では、横浜国立大(横浜市)が昨年7月に個別試験の中止を発表。山陽小野田市立山口東京理科大(山口県)も個別試験の見送りを決めている。


(毎日新聞)









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