社会

コロナワクチン接種 人手不足、やり繰りが課題 情報も乏しく

新型コロナウイルスのワクチンの先行接種を受ける医療従事者=北海道釧路市の釧路労災病院で2021年2月19日午後2時51分、本間浩昭撮影

 新型コロナウイルスワクチンの医療従事者への先行接種が19日、北海道内でも始まった。各市町村は4月以降の開始を目指し、65歳以上の高齢者に対する優先接種に向けた準備を進める。ワクチン供給の量や時期に関する国からの情報が不足し、具体的な計画作りは遅れ気味で、人手不足をどうやり繰りするかも大きな課題になっている。【源馬のぞみ、高橋由衣、平山公崇、鈴木斉、本多竹志、本間浩昭】

 国は19日、4月に始める予定の高齢者への優先接種を当初は人数を絞り、段階的に増やしていく方針を示したが、ワクチンがいつから、どれくらい供給されるかは依然明らかにされなかった。

 道内各地にワクチン保管用の冷凍庫が到着し始めたが、各自治体は接種計画を立てるうえで重要な情報が乏しいまま、接種方法や会場、人員について医師会などと協議せざるを得ず、4月開始予定に「今は見通しが立たない」(苫小牧市)「日程が固めきれない」(北見市)と悲観的な声も漏れる。

 札幌市では、優先接種の対象となる高齢者は約54万人。札幌市の秋元克広市長は18日、「7~8割はかかりつけ医を利用しているというデータがある。アレルギーや既往症について熟知している医療機関で受けていただく」と、かかりつけ医での個別接種を基本とする方針を示した。

 このうち6万人は高齢者施設などに入所しており、施設に医師が巡回し接種する方針。かかりつけ医がいない場合は、市が用意する会場での集団接種になるとの見通しを示した。また、帯広市も、医療機関での個別接種を軸に調整を進める。

 網走市は、対象の高齢者に3月中旬に接種券を配布する。5カ所の会場を確保し、1日1カ所で集団接種を実施する。医師、看護師ら計6人のスタッフを確保し、1日300人の接種を目標にする。施設などの巡回、かかりつけ医などの接種も医師会と協議中。一般接種の開始は5月中旬をめどにしている。

 根室市は、集団接種か個別接種か、両方を併用した形になるか未定。移動が難しい介護施設の入所者には出向いて接種し、同時に施設職員への接種も検討する。ただ、市民全体への接種まで考えると、1日500人接種しても人口約2万5000人が2回ずつで計5万回。それだけで100日もかかる。医療過疎の地域だけに、医療スタッフを確保するための医師会との調整は難航が予想される。

 人口の少ない町村はさらに深刻だ。えりも町は、町国保診療所と1日の接種件数などを協議中だが、通常業務もあり、接種する医療スタッフの確保に頭を痛める。担当者は「医師を募集しようにもワクチンがいつ来るかわからず雇用期間を設定できない。元看護師に声をかけたがブランクがあり接種には抵抗があるようだった。今は高齢者1600人にどう対応するかで頭がいっぱい」と話した。

 ◇余市など5町村、個別接種で連携

 一方、課題解決に向けた試みも始まっている。余市、仁木、古平、積丹、赤井川の5町村は余市医師会と連携し、5町村内のかかりつけ医で個別接種する準備を進める。

 余市以外の4町村は医療機関が少なく、余市町に通院する住民が多いため、町村ごとに専用会場を設ける集団接種はせず、診療の合間に接種でき、接種のためのスタッフ確保が不要となる。

 5町村の接種対象者は計約2万4000人で、余市町内11カ所を含む15カ所のどこでも接種できる。ワクチンは余市協会病院で一括して保管し、余市町が接種の予約に応じて各医療機関に配送する方式を想定している。


(毎日新聞)









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