くらし

至れり尽くせりの「猫住宅」 開発した社長、発想はどこから?

「猫住宅」を手がける第一住宅社長の鈴木智恵さん=2021年4月13日午前10時15分、鈴木篤志撮影

 住人はもちろん猫にとっても住みやすい「猫住宅」を開発した埼玉県蕨市中央の「第一住宅」社長、鈴木智恵さん(40)。創業者の父健司さん(72)から会社を受け継いだ2代目社長は、飼い主に代わって留守中に猫の世話をする「キャットシッター」の資格も持つ。住宅を主軸にしながら、猫と暮らす単身高齢者向けのサービス事業にも乗り出した。「住宅だけではなく地域貢献も」と、思いは広がる。【鈴木篤志】

 ――2019年に社長に就任しました。最初から家業を継ぐ予定だったのですか。

 ◆畑違いの音大出身なんです。でも上には上がいて、とても食べていけないと音楽の道は諦めました。父は70歳を区切りに会社を閉めようと思っていて、経営規模を縮小していました。そのタイミングで私が離婚したこともあり、父が「よかったらやってみるか」と。悩みましたが、決心して父の元で経営のノウハウを学びました。

 ――「猫住宅」はどのような家ですか。

 ◆これまで2棟供給しました。いずれも3階建ての4LDKで、高所が好きな猫が運動できるように、室内には階段や廊下状の通路となるキャットウオークを設け、各部屋のドアの下には猫の出入り口を設置しました。壁のクロスや網戸には、ひっかいても破れにくい素材を採用しています。猫にとっては至れり尽くせりの家です。

 ――発想はどこから生まれたのですか。

 ◆子供のころから家にはいつも猫がいて、今も17歳の雌が2匹います。高齢なのでジャンプしなくていいように部屋に階段状のキャットウオークを付けたら、生き生きして。環境を整えると、猫にもいいんだなと気づかされました。

 猫と住宅を組み合わせることを社員たちに持ちかけたら、賛同してくれました。まず建売住宅にキャットウオークを付け、見学会を開催したところ、かなり反響がありました。

 ――キャットシッターとしての経験も生かされますね。

 ◆どうせやるなら、自社で作って案内して説明する――という家をやりたかった。どうしたら猫が暮らしやすいか、シッターで感じたことを住む人に直接説明できます。住まいのことも猫のことも末永くお付き合いできる、そういう猫住宅を全国に広めたいです。

 ――新たな事業も始めました。

 ◆個人でやっていたキャットシッターを2月に「キジトラ」という新会社にしました。高齢者や単身者で猫と暮らしている人が増え、自分に何かあった時にペットが残されてしまうということが社会問題になりつつあります。新会社では猫の世話、猫用品の企画をはじめ、お年寄りには重労働になるトイレ砂やキャットフードの買い物代行を行います。依頼者と接することで見守り支援にもなると思っています。

 猫がいるから元気でいられるという高齢者の声をよく聞きます。大の猫好きとしては、可能な限り一緒に暮らしていってほしい。

 ――地域とのつながりもできました。

 ◆猫用の寝床「猫ちぐら」を作っていた川口市内の障がい者施設の作業所の方たちと縁があり、「キジトラ」で扱う猫用品の試作を依頼しています。新型コロナの影響で販売機会がないというので、「それならウチでやらせてください」とお願いしました。オリジナルグッズとして販売したい。

 会社なので利益はもちろん考えますが、こうした取り組みが地域貢献につながっていくと信じています。

 ◇鈴木智恵(すずき・ちえ)さん

 1980年、川口市生まれ。幼少のころから高校まで神奈川県鎌倉市で過ごし、川越市の東邦音大を卒業。一般企業を経て家業を手伝いながら、2013年にキャットシッターの民間認定資格を取得して個人で開業した。19年3月、第一住宅の2代目社長に就任。「ココ」「ミミ」の愛猫2匹と暮らす。


(毎日新聞)









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