社会

<コロナで変わる警察>出張、聞き込みは? 警察も異例の対応、コロナで捜査ストップも

新型コロナウイルスの影響で警視庁の捜査の現場はどう変わったのか=米田堅持撮影

 新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、警察の仕事が異例の対応を余儀なくされている。関係者への聞き込みはどこまで行われているのか。留置場で感染者が出た場合、どうするのか。都道府県をまたぐ出張は――。コロナで変わりつつある現場の声を警視庁担当記者が聞いた。今回は「捜査」と「警察署」の話をお届けする。

 「今、東京から来るんですか?」。警視庁の捜査員が都外に出張しようとすると、コロナの影響で受け入れ先の県警から難色を示されることが増えている。東京都内の感染者数が依然として全国で突出していることが原因とみられる。

 「不要不急」の捜査など存在しないはずだが、警視庁幹部は優先順位をつけざるをえない現状に追い込まれている。

 ある副署長は「出張は難しくなった。急ぎの案件以外は後回しにしている」と明かす。感染を心配し、関係者への聞き込みなど人との接触を伴う捜査も困難になっているという。

 本部で扱う事件も同様だ。「昨年4月に最初の緊急事態宣言が発令された時は関係者への事情聴取などができず、捜査がストップした」(刑事部幹部)、「新型コロナの影響で暴力団の会合が減っており、暴力団に関する情報収集に影響が出ている」(組織犯罪対策部捜査員)などの声が聞かれる。

 コロナで感染者の遺体の取り扱いも大きく変わった。鑑識課幹部は「最初はおっかなびっくり。感染している遺体や、後に感染が判明した遺体を扱った場合、体調変化がないか自宅で様子を見させていた」と振り返る。

 時間がたつにつれて、防護服やゴーグルで感染対策を徹底すれば感染しないことが分かり、通常通りの勤務に落ち着いてきたという。

 ただ、現在も気を付けていることがある。「感染者の遺族に話を聞く時は濃厚接触者の可能性があり注意が必要なので、電話で聞き取りするようにしている」という。

 コロナで大きく変わったのは捜査だけではない。一般の住民と接する機会の多い警察署での働き方も、以前とは違ったものになっている。

 「地域の人たちと会食できないのはつらいね」。警視庁のある署長はこぼした。

 署長は管内の防犯協会や交通安全協会の関係者らと付き合い、犯罪対策や注意喚起をしていくのが大事な仕事だ。しかし、新型コロナの影響で関係者との会食は難しくなっている。前出の署長は「仕事の8~9割は地域の人たちとの付き合い。でも、コロナでほとんどそれができなくなった」と明かす。

 会食ができないだけでなく、緊急事態宣言中は署長と副署長が一緒に出勤しないようにしたり、署員の3~4割を在宅勤務にしたりするなどの対応に追われる。

 20年12月末には、当時の尾久署長が交通安全協会との懇親会に参加し新型コロナへの感染が発覚した。

 同庁は当時、5人以上での会食自粛を求める通達を出しており、同署長は警務部付に異動になった。

 別の署長は「尾久署長は定年間近で『もう最後だから』と誘われて断れなかったのかもしれない。うちの地域の人は気を使って誘ってこないけど、もし誘われたら断りづらいのは分かる」と話した。

 一方、昨年の最初の緊急事態宣言の際は、「自粛警察」による「時短営業要請が出ているのに駅前のガールズバーが営業している」「ラーメン屋に行列ができていて密だ」などの通報が相次ぎ、署員の出動も多かった。しかし、今年1~3月の2回目の緊急事態宣言時は少なくなったという。

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(毎日新聞)









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